冒険譚はなにもファンタジーや異世界だけのことではありません。
今回紹介する片喰と黄金は、19世紀ごろのカリフォルニアで発見された、黄金をきっかけに始まったゴールドラッシュに、夢見る野心家たちを描いた漫画です。
片喰と黄金のあらすじ
1848年、カリフォルニアで発見された一粒の黄金をきっかけに始まったゴールドラッシュ。
黄金発見の翌年、1849年。
噂は世界中へ広がり、野心家たちが無名の田舎町へと押し寄せていた。
同じころ、アイルランドを襲った未曾有の飢饉で全てを失ったアメリアとコナーの貧乏主従も、人生逆転を期してカリフォルニアへ向かう。
大西洋を越え北米大陸を横断する遥かな旅が始まる!
ネタバレ注意!片喰と黄金のストーリーや魅力
作者・北野詠一さんの漫画
ゴールドラッシュで一発逆転を狙う若者を描く歴史漫画
上を見れば、いかに自分がちっぽけな存在かと落ち込むことがあります。
しかし、現代日本に産まれて普通の生活ができている。
それがどれだけ幸福なのか。
事件事故や海外のニュース、歴史の話を聞くたびに思い知らされます。
隣の芝生は青く見えるといいますが、感謝の気持ちで心のバランスをとれるようにしたいものです。
さて、今回紹介する片喰と黄金は1849年にアイルランドを襲った未曽有の大飢饉から物語が始まるんですけど……。
原因はジャガイモの疫病。
元々貧しくて、ジャガイモが主食だったアイルランドで、餓死者と免疫力不足による病死者が何十万人とでたといいます。
そんな絶望的な毎日のなか。
主人公であるアメリアとコナーは死体漁りをして生きてきました。
その日の食事もままならないのに地代など払えるわけもなく、多くの農夫が土地を追い出された。
アメリアの家も立ち退きにあってしまい、代々手伝いをしてくれていたコナーとふたりで、浮浪児となってしまった。
そんな絶望的な状況でも少女の目が死んでいない理由が「移民です。向かうはアメリカ合衆国。そして!黄金でひと山当てます!」というゴールドラッシュがあるからでした。
叫びだしたくなるような毎日を、元気だ平気だと自分をごまかしているアメリア。
はじめは大地のきまぐれだと思っていたジャガイモの異変は大飢饉に変わり、かろうじて生き残ったのはコナーとアメリアだけ。
「飢えも知らない、病気も知らない、子供も孫もその先もずっとなんの苦労も要らないような……」
渇望しています。
ささやかな幸せでは、足りない。
一攫千金の大逆転を。
一期一会の旅路が魅力的に描かれている
片喰と黄金で描かれる出会いは一期一会。
これ以降登場しないのは寂しいと思えるほど悲しみを背負い、生きることを力強く願う人物が多く登場します。
飢饉、貧困、差別など多くのネガティブ要素が含まれていますが、アメリアの力強い瞳や生命力はとても魅力的でした。
歴史漫画が好きな人や、重い世界観が好きな人におすすめなので、興味がある人はぜひ読んでみてください。
片喰と黄金(最新刊)6巻の発売日
片喰と黄金6巻は2021年10月19日に発売です。
片喰と黄金を無料で試し読みする方法
片喰と黄金は集英社が運営している漫画誌・ウルトラジャンプで連載中なので、となりのヤングジャンプより無料で3話まで試し読み出来ます。


