歴史に名を残した人物の物語は、波乱万丈で面白いんだけど、悲劇が待っていると分かって読む漫画ほどツラいものはありません。
今回紹介する傾国の仕立て屋ローズ・ベルタンは、王妃マリー・アントワネットにファッションデザイナーとして仕えた女性が主役の職業系漫画なんですけど、ご存じの通り、主要キャラクターの最期をどうしても想像してしまいます。
傾国の仕立て屋ローズ・ベルタンのあらすじ
18世紀フランス革命前夜。
平民の出ながら、ベルサイユ宮殿で貴族以上の権勢を誇る“仕立て屋”がいた。
彼女の名はローズ・ベルタン。
悲劇の王妃マリー・アントワネットの寵愛を受け、革命の波にのまれていった、ファッションデザイナーの祖と称される人物の物語。
【ネタバレ注意】傾国の仕立て屋ローズ・ベルタンを読んだ感想
作者・磯見仁月さんの漫画
18世紀パリを舞台に歴史と職業を描いた漫画
1793年10月16日フランス。
民衆埋めく広場にて王妃マリー・アントワネットが処刑された。
死を待つ冷たい牢獄で震える彼女の指が握りしめたのは上質なモスリンのスカーフ。
そのスカーフを命がけで届けた女性がいる。
というマリー・アントワネットの死からこの物語は始まるんですけど、この王妃が主役なわけではなく、彼女の人生に関わったファッションデザイナーが主役の漫画なんです。
歴史を描いている漫画自体希少で、そのうえ傾国の仕立て屋の舞台はフランスのパリ。
18世紀フランスの時代背景や価値観を描きながら、平民出身の女性が、自分の美的感覚や服飾の技術を武器に、成り上がっていく姿が描かれます。
しかもこのローズ・ベルタンという女性は実在していたそうで…小学生のころ偉人の伝記を楽しく読んでいた感覚を思い出しました。
色々な価値観が混ざり合っている漫画
ファッションデザイナーといえば聞こえがいいかもしれませんが、当時の女性は今とは比べ物にならないくらい身分が低く、できる仕事も限られていました。
ローズ・ベルタンは「可愛くなくても幸せを掴めるチャンスがあるわ」と、地方からパリを目指すことになりますが、誰もが野心を持っているわけではありません。
いかにいい男を捕まえるか。
それもひとつの幸せ。
ローズベルタンは女性の魅力を最大限に引き立てる服を仕立てることになるわけです。
女性のどこに魅力を感じるのかなど、時代の違いという知識欲を満たす漫画でもありました。
歴史物は本当に難しくて、知識がない読者のほうが圧倒的に多いのに、史実通りに描かなければ低評価をつけられるという…。
個人的にはあとがきで解説かなんか書けば、多少フィクションが混じってもいいと思っているんですけどね。
自分は歴史に疎いですし、史実に基づいているかなど知るよしもないですけど、傾国の仕立て屋ローズ・ヴェルタンはかなり楽しく読めました。
ただ、天真爛漫なマリーアントワネットの姿を見るたびに、悲惨な最期を想像してしまうので、複雑な気分だったのは否めません。
【最新刊】傾国の仕立て屋ローズ・ベルタン7巻の発売日
傾国の仕立て屋ローズ・ベルタン7巻は2022年8月8日に発売です。
傾国の仕立て屋ローズ・ベルタンを無料で試し読みする方法
傾国の仕立て屋ローズ・ベルタンは新潮社が刊行している漫画誌・月刊コミックバンチで連載中なので、pixivコミックより第3話まで試し読みできます。


