あなたは人類最後のひとりになったとして、どれくらい生き残る自信ありますか?
自分は1年持てばいいほうかなって思います。
そりゃあ、最初は死にたくないから頑張りますよ。
でも、食べ物の消費期限が近づくにつれて、このまま生きていたとしてどうするんだと考えるようになって、メンタルがやられると思います。
現代社会で一人で生きれても、終末世界で孤独に生きれるかと問われれば、まぁ無理でしょうね。
さて、今回紹介するウスズミの果ては、断罪者と呼ばれる異形の存在と、それが放つ瘴気による奇病で人類が滅亡した世界で、生存者を探す旅が描かれる終末SF漫画です。
残された死体から生存時の状況や最期の想いをくみ取って弔う描写が哀愁漂う、シンとした空気感が魅力の漫画でした。
ウスズミの果てのあらすじ
【ネタバレ注意】ウスズミの果てを読んだ感想
孤独と静寂が描かれる希少性のある漫画
終末世界を描くSF作品は数多くあれど、ここまで静寂さを感じた漫画は初めてかもしれません。
というのも、物語を形作るのは設定であり、登場人物であり、会話なんですよね。
いくら終末世界を描くSF漫画であっても、人がいなければ物語は始まりません。
人類が滅亡する原因となった外敵と戦うなら、それこそ魅力的なキャラクターが必要ですよね。
文明が衰退した世界で孤独に楽しく生きる。
もちろんこういうスローライフな漫画も魅力的でしょう。
でも、これを数ページどころか、数冊分に膨らませるのは相当な難易度だと思います。
ウスズミの果ては目に見えて面白い!となる派手な漫画ではありませんが、挑戦的な作品と言えます。
孤独な主人公だからこその没入感と静寂さは、他の漫画では味わえない魅力を感じました。
残留物と弔う描写が想像力をかきたてる
断罪者と呼ばれる異形の存在によって滅亡した人類。
やつらが放つ瘴気を吸った人間は、身体中に鉱物が形成される結晶病に侵され、やがて死に至る。
結晶病の感染力は絶大で、感染域は人が住むことが出来ない土地になったといいます。
また、結晶病に侵された死体は腐敗しません。
ですから、どういう最期を迎えたのか。
人の想いがその場に色濃く残っているんです。
終末世界を描くSF漫画は廃墟が醸し出す雰囲気もまた魅力。
残留物が想像をかきたて、死者を弔う描写が強く心を揺さぶる。
ウスズミの果ては没入感が素晴らしい漫画でした。
人ならざる主人公が生存者を探す物語の魅力
50年以上前に人類の大半が死滅したというわりに、主人公がインスタント食品を食べてるし、機械は正常に作動しているしで、引っかかる描写はけっこうあります。
まぁその辺はSF漫画ということで。
テクノロジーが大幅に進んでいたんでしょうって、自分を納得させて読み進めました。
主人公が人造人間という特徴を活かして断罪者と戦うのも良し。
孤独から物語を始めたことで、そのまま最後まで孤独でもいいし、実は人間がひっそりとコミュニティをつくって生き残っていましたでもいいし……。
どのような物語に変化するのかとても楽しみな漫画でした。
終末世界を描くSF漫画が好きなあなたにおすすめなので、興味があるならぜひ読んでみてください。
【最新刊】ウスズミの果て3巻の発売日
- Qウスズミの果て3巻の発売日はいつですか?
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2024年7月12日発売です。