- Qワンダリングは面白い漫画でしたか?
- A
斬新であるという意味で面白い漫画でした。史上初のダーク“ピンク”ファンタジーと銘打ってあるように、敵対する化物のキャラデザ自体はまるで昆虫の腹や触手のようなグロさが際立っているんですけど、主人公の戦い方がほぼ射○なので、読んでいて頭がバグります。
記憶を失い、さらに自分自身の体に常に違和感を感じて生きてきた青年〈ねじり〉。ある日、〈影〉と呼ばれる化け物に襲われ、生命の危機に陥った彼の前に突如不思議な少女〈ヨビ〉が現れる。「強制的に「管理」させていただきます」と、自らの血をねじりに注入するヨビ。するとねじりの体は内側から開かれ、異形と化してビームのように高温の液体を放出、見事に〈影〉を撃退する。ねじりの変化の原因が〈冬〉と呼ばれる巨大な生物であり、自分はそれを追いかけていると語るヨビ。唯一記憶に残る弟を探すため、ねじりはヨビと共に旅立つ――。⇨Renta!で試し読みする
【ネタバレ注意】読んだ感想・レビュー

①.“冬”になった主人公・ねじりの過去を探る物語
ワンダリングを初見で読んだときに「私は今、なにを見させられたんだ」と頭がバグりました。
第1巻の表紙で自ら史上初のダークピンクファンタジーと銘打つのを納得するくらいには、主人公のねじりとヒロインのヨビの関係性がほぼ赤ちゃんプレイで、読んでいて気恥ずかしさを覚えました。
ただ、そのピンク色のインパクトが強すぎるだけで、2周目に入るとしっかりとファンタジーな世界観が顔を覗かせていることに気が付きます。影と呼ばれるアンデッド属性のバケモノが存在しているこの世界。ねじりは内側から何かに侵食されそうな違和感を抱えて生きていました。
この違和感の描写がまるで冬虫夏草のような、自分を栄養源に芽がにょきにょきと生えてくる様子が良い意味で気持ち悪くてゾクゾクします。その直後に、ねじりの誰にも明かしていない秘密を言い当てるヒロイン・ヨビとの遭遇を持ってくることで、まるで女神のように映るんですよね。
私に「管理」させていただけるのであれば…
ワンダリング第1巻22p
あなたの感じている「違和感」の正体が…
わかるかもしれません
あらすじにも書いてあるので結論から述べると、ねじりは“冬”と呼ばれる怪物になっています。ただそれがいつの時点でそうなったのか、ある日を境に記憶が途切れているといいます。そして、いつの間にかいなくなってしまった弟のネトはどこでなにをしているのか……。
ワンダリングの何がいいって、今が中間地点として描かれていることなんです。ふつうだったら、ヒロインとの出会いをきっかけに主人公が化物の力を得る的な物語のスタートになると思うんですけど、ワンダリングは過去にもう“冬”になっていて、未来に進みながら過去を探る二兎を追う感が私は最高に好きでした。
②.ねじりを“管理”するヒロイン・ヨビの知的好奇心
分かっているのはあれが数年前に現れ、この土地を雪と氷に閉ざした原因であること…その身に「液鉄」という超金属を宿しているということ…
ワンダリング第1巻79p
そもそも“冬”になるってなんぞやって話なんですけど、ワンダリングの世界観には『万物には存在する意味がある』って考え方が一般的なうえで、正体不明だと、だからこそヨビは気になっていると。
先述したように一見すると、二人のやりとりはまるで赤ちゃんプ○イのように映るんですけど、その原動力は異種族と化した人体構造への知的好奇心。私たちが馬の筋肉に驚くような、はたまたキリンやゾウの身体的特徴に感心を寄せるような、はたまた犬猫の可愛さに悶えるような、そんな純粋な反応なんです。
じゃあ、なにが赤ちゃんプ○イみたいに感じさせるのかというと、ねじりが液鉄を発射する描写で、これの第一印象に関してはふつうにキショいし、他に表現方法は無かったのかとは思いました。チョモラン先生のキャラデザが良すぎるがゆえに、格好いい戦闘描写であってほしかったってのが正直な感想です。
とはいえ、そういうマイナスな描写があるから、ヒロインの母性が魅力的に感じたり、主人公の成長への期待感など、ストーリーに幅が広がるのもまた事実。二人の関係性が母親と赤ちゃん、もしくは主人とペットから対等な人間同士になるのかは、見どころのひとつと言えましょう。
③.二人の縁をつないだ神出鬼没のデカ女エルフさん
「今のキミではそれを知ることができない」
ワンダリング第1巻154p
「なぜならその事象はまだ起きていないから」
ワンダリングは少なくとも第1巻からアクセル全開でめっちゃ面白い!!ってなるタイプの漫画ではありません。生物なのか無生物なのかもわからない“冬”になってしまったねじりの目的は、自分の記憶と弟を探すことで、今歩き始めたばかりなのです。
個人的に印象的だったのは、ヨビにねじりの情報を与えたエルフさんというキャラクターです。
この世界のエルフは『与えしもの』と呼ばれる、わかりやすくいえば現代知識で無双するなろう系主人公みたいな存在で、主人公よりはるかに大きい身長、ケモ耳?ツノ?、メカクレ、褐色肌、グラマーな体型に、陰キャヒロインのしゃべり方と、フェチの宝庫。チョモラン先生のキャラデザはマジで神です。
初見時には『ヨビがどこで情報を拾ってねじりと出会ったのか?』という疑問点をこんなに早く消費するのは勿体ないと感じたんですけど、魅力的なストーリーテラーがいるなら使わない手はないよねと自己解決しました。BLEACHの浦原喜助みたいなどこか胡散臭いキャラクター好きな人には絶対ささります。
というわけで、まだまだワンダリングの魅力について書き足りないところなんですけど、これ以上は過剰なネタバレになってしまうので、ぜひ自分の目で確かめていただけると幸いです!!
作者紹介

ワンダリングの作者チョモラン先生は
『零崎軋識の人間ノック』
『あの人の胃には僕が足りない』
などを描いています。
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