- Q誰が駒鳥逃したの?は面白い漫画でしたか?
- A
百合漫画として読むなら面白い作品でした。ミステリーとしては全てが予定調和なので盛り上がりに欠けるんですけど、反比例するように恋愛面は人間らしい重めの感情丸出しで男女の恋愛だったらそうはならんみたいな描写もあって、読み応えがありました。
- 作者
- 長篠もぎ
- 出版社
- イースト・プレス
- 掲載誌
- 個人誌
- ジャンル
- 百合
- 既刊
- 上下巻
【ネタバレ注意】誰が駒鳥逃したの?の感想レビュー!

point①.ミステリーではなく百合として秀逸な漫画
正直、想像していた感じの作品ではありませんでした。
が、結果的に読み応えがあって面白かったです。
というのも誰が駒鳥逃したの?の帯には『事件だよ、マーガレット』『ヴィクトリア朝ロンドンを舞台にした、ホームズオマージュの話題作!』と書いてあるので、私は『薬屋のひとりごと』や『ミステリと言う勿れ』的な作品を期待して読み始めました。
でも、ページをめくり始めれば、事件や謎のひとつひとつが予定調和。本作の主人公にして天才女探偵であるロビンを引きたてるための小道具として使用されています。途中式を書かずに答えだけ書いてある数学の問題をみせられている感覚で、そこにカタルシスはありません。
例えば、誰が駒鳥逃したの?上巻の冒頭で、待ち合わせしていたマーガレットが直前までどこにいたのかをロビンが言い当てる場面があります。
わずか1ページで解答したのに対して、種明かしは4ページで、息つく暇もない長セリフ。少ない情報から答えを導きだすのはミステリー漫画の定石かもしれません。ただ本作の場合は、お菓子のバラエティパックみたいに、とりあえず情報を詰め込みました感が否めません。
この辺は淡い雪だけど、あの地域は大雨が降ってるって話を聞いたよ。よくみたらブーツの泥の汚れのなかに赤いレンガの破片が混じってるね。袖口に花粉がついているけどお見舞い用の花を抱えていたんだろうねって、推測をしているんですけど……。
たまたまその話を聞いたの?解答したときにはブーツなんて見てないのに?大雨に晒されていたのに一目で花粉って気づくんだとか、ロビンの天才感を演出するには偶然を利用した決め打ち感が強すぎるなと思いました。
じゃあ、誰が駒鳥逃したの?が面白くなかったのかと問われたらそんなことはありません。理路整然としているミステリーとは対照的に、良くも悪くも人間らしさが丸出しで美しくないんです。男女のラブコメでは摂取出来ないドロドロ感がそこにはありました。
point②.男役ではなく女性としてロビンが描かれている
ああいう輩に威嚇射撃は効かない、
出典:誰が駒鳥逃したの?下巻39p
足を狙うんだ。
個人的に印象的だったのは誰が駒鳥逃したの?下巻で、マーガレットが犯人を追い詰めるシーン。威嚇射撃はできて、銃口はこちらを向いていても引き金は引けないだろうと、背を向けて歩き始める犯人の後ろ姿に、ロビンは銃の打ち方を指南するんです。
最終的にはロビンが撃つんですけど、一緒に泥を被ってほしい願望と、それでも撃てない優しい君への安堵感が共存している表情の変化が、男女の恋愛漫画には無い描写だなと思いましたし、ロビンが男役ではなく女性としてちゃんと描かれていると実感できる一幕でした。
point③.時代背景と立場と選択が重めの読感を生んでいる
誰が駒鳥逃したの?は1892年の英国を舞台に、お嬢様と平民という生まれが違う二人がかけがえのない友人となり、そして大人となり、かたや探偵として自由に、かたや結婚して家庭を築くそれぞれの選択が描かれています。
なんで君ってそんなに綺麗なの、どんどん綺麗になっていく、私から離れていく度に。
出典:誰が駒鳥逃したの?上巻38p
マーガレットに婚約者がいる設定と、ロビンの重めな性格が相まって、読み心地はふつうに悪いんですよね。ふだん微百合レベルの作品しか読まないので、時代背景を加味してもヒロイン側の女性がリアリストで、王子様側がロマンチスト?なことあるんだって良い意味で驚きました。
セリフ回し自体は間違いなく一級品。ただマーガレットが重傷を負ったシーンで、ロビンが表情一つ変えずに、内心で喜んでいたり。逆にマーガレットは旦那がいながら、元彼と縁が切れない女みたいな立ち振る舞いをしていて、読んでいてモヤモヤしました。
ある意味、その不完全さこそが人間らしさなんですけどね。
というわけで『誰が駒鳥逃したの?』を紹介しました。
興味があるなら、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか!








