これ違うんじゃない?間違ってる?ってミスに気付いても、相手がその道何年のプロだったり、凄い経歴があると、自分の感覚を疑って委縮することってありますよね。
知識は立派な武器にも盾にもなりえます。
しかし、結局はどう使うか。
行動に移せるのかという人間力が物を言います。
さて、今回紹介する天幕のジャードゥーガルは、奴隷の身分でありながら知識を与えてもらった一人の少女が、全てを失ってから賢さを武器にモンゴル帝国に抗う歴史漫画です。
こういう漫画に多くある悲惨な戦闘描写や激重な展開は、トマトスープ先生のマイルドな画風のおかげで、復讐譚とは思えないほど読みやすい歴史漫画でした。
天幕のジャードゥーガルのあらすじ
【ネタバレ注意】天幕のジャードゥーガルを読んだ感想
トマトスープの作品
重い設定ではあるのに読みやすさは随一の歴史漫画
トマトスープ先生の絵柄めちゃくちゃいいですよね。
基本的に自分は、線が細めで大人っぽい、綺麗目な画風が好きなので、本来の好みとは真逆ではあるんですけど、このデフォルメキャラが、物語に凄くいい影響を与えているんですよ。
ダンピアのおいしい冒険もそうなんですけど、トマトスープ先生の漫画はめちゃくちゃ読みやすい。
歴史漫画は勉強しているような感覚に加えて、グロい戦闘描写や主要キャラの死など、激重な設定が付いて回るので、自分はけっこう読んでいて疲れるし、覚悟が必要なんですよね。
でも、トマトスープ先生の画風だと、不思議なことにするするっと読めてしまいます。
小学生のころに、偉人の伝記漫画を読んでいた、あの感覚に近いかもしれません。
13世紀のイランや地上最強だったモンゴル帝国。
その当時の人々がどういう生活をしていたのか。
どんな環境に身を置いていたのか。
必要最低限の説明で物語を引き立たせています。
ファーティマという実在した女性がモデルの物語
本作の主人公・ファーティマは実在した女性。
少し調べると、活躍した後に失脚して、呪術使いや魔女扱いされて凄惨な処刑をされたと出てきて、いきなり結末がどうなるのか少し不安になりました。
とはいえ、その時代は勝てば官軍負ければ賊軍。
数多の偉人や英雄も天寿を全うできたわけではありません。
大切なのは成り上がった過程でしょう。
ファーティマは学者家系の奴隷になったことで、本を読めるまでの教養を与えられています。
当時の奴隷制度は、異世界転生漫画を読み慣れてしまった自分の認識よりもちゃんとしているし、モンゴル帝国では名を挙げた女性が結構居ると知って驚きました。
まぁ、大金はたいて購入した物を粗末に扱うなんてしませんよね。
ペットにしても、おもちゃにしても。
奴隷って言葉の印象が悪すぎるだけ。
実際は召使いとかメイドとか労働者扱いです。
宗教や国、歴史など。
自分たちとは全く違う価値観が絡むので、あんまり変なことは言えないんですけど……。
戦が日常的に行われている時代。
全てを奪うか、奪われるか。
美酒に酔いしれても、明日は我が身。
死を身近に感じている人々が、どういう精神状態で生活していたのか、想像つきません。
チンギスハンの名前しか知らないモンゴル帝国。
彼の死後にどのような歴史があるのか。
復讐に身を投じるファーティマはモンゴル帝国でどのように立ち振る舞ったのか。
史実とフィクションをどう融合させるのか。
これからの展開がとても楽しみになる歴史漫画でした。
【最新刊】天幕のジャードゥーガル4巻の発売日
- Q天幕のジャードゥーガル4巻の発売日はいつですか?
- A
2024年8月16日発売です。