インドアな人間からすると、寝癖を直して、わざわざセットするのもめんどいし、髭剃って着替えてまで外出したくねーなってつねづね思っています。
さて、今回紹介するルリドラゴンは、ある朝目が覚めたら頭にツノが生えていて、自分の父親が龍というまさかの人外ハーフだって聞かされる女子高生の日常が描かれる漫画です。
こんな、もう外出できないって状況で普通に登校するもんだから、そういうファンタジーと隣り合わせの世界観の漫画なのかと思いきや!
現実と同じく龍は架空の生物だという認識だから驚きだし、奇想天外な状況を受け入れる周囲の反応や、勇気を出して人間関係を広げる心理描写が魅力的に描かれていました。
ルリドラゴンのあらすじ
高校生の青木ルリは、ある朝目覚めると突然頭にツノが生えていた!
実は父親が龍だから遺伝かも?と母に言われたルリは戸惑いながらも、とりあえず学校へ…。
見慣れないツノに興味津々なクラスメイト達に加えさらにもう一つのドラゴン体質が明らかに!?
いつもの毎日にちょっとした異変――。
ドラゴンガール・ルリの日常がゆるっと始まる。
【ネタバレ注意】ルリドラゴンを読んだ感想

著者・眞藤雅興の作品
ヒロインの可愛さが至高の漫画
漫画のヒロインが可愛いのは基本だろ。
そんな漫画はいくらでもある。
って言いたくなる人もいるでしょうけど、そうじゃないんですよ。
ラブコメ漫画じゃないのに、ここまでヒロインの可愛さが際立っているのが、地味に凄いんですよね。
分かりますかね?この感覚。
学園モノでありながらラブコメじゃない。
モブ感の強いクラスメイト達。
ヒロインただひとりにスポットライトがあたっている感じ。
クラスメイトのギャルはちゃんと可愛く描かれているけど、キーパーソンであるルリの親友とか母親までモブ顔で描かれているんですよ。
最近は誰がヒロインなのか分からない。
サブキャラのほうが人気になりやすい風潮があるなかで、この圧倒的ヒロイン感は凄く魅力的でした。
このモブ感の強い絵柄が逆にささる
ルリの母親も凄くいいんですよ。
このモブ感が、逆に刺さっている人も多いんじゃないでしょうか。
かくいう自分もそのひとり。
直接的な表現をするとアレなんですけど、年上のお姉さん系とか、地味なヒロイン系がストライクゾーンの人にはぶっささりですよ。
ルリのために学校で頭を下げれるようなところも、一緒にゲームして楽しんでいるところも素敵ですし、なにより、ドラゴンとの間に子供を授かった経緯や事実は凄く気になるところです。
人間関係や自分自身の変化に対する心理描写が魅力
朝起きたら、頭にツノが生えていて、自分の父親が龍だと知らされて、とんでもない日常が始まるかと思いきや、普通に学校に行くし、視線は浴びるけどそれほどパニックにはならない。
てっきり、そういう世界線の話かと思いきや、現実と同じで龍は架空の生物らしい。
なんというか、すごくゆるい。
多分他の漫画だったら、1巻の1話目で黒スーツの人達が押しかけてきてる。
けど、ルリドラゴンで描かれるのは母娘の家庭と学校生活が中心。
女子高生の日常からは逸脱せずに、ひとつの個性として捉えられているのは素敵でした。
もちろん、今後ファンタジー感が強くなっていく可能性も否めませんけど、物語の始まり方としては理想的だったと思います。
些細な失敗で落ち込む、記憶するのは自分だけ。
しかし、重大な出来事は瞬く間に拡散されて、コビりついて離れないのが学校や会社などの集団生活。
ルリは体質の変化で火を噴いてしまい、学校ではドラゴンだと周知の事実となってしまいます。
クラスメイトのポジティブな反応はもちろん。
個人的には、ルリが学校に行きたくないと嘆くのも、同級生から敬遠されたときの反応や言葉も印象的でした。
友達と喋る時間の楽しさと、学校に行きたい気持ちはイコールではない。
苦手と嫌いはイコールではないし、苦手なままでも仲良くはなれる。
他人が自分を怖がるのを理解しているし、許容している。
こういう言葉遊びみたいなニュアンスをキャラクターに落とし込んでいるのが結構好き。
そうなんですよね。
単純なように見えて、人間は複雑なんです。
ゆるっとした雰囲気のなかでも、繊細な心理描写を感じられるから、自分は好きになりました。