大人になると時間が経つのが早く感じるけれど、これは刺激の量や、変化が少なくった要因もあるらしく、ファンタジーにおけるエルフが、クールで閉鎖的に描かれるのもよく分かる気がする。
今回紹介する葬送のフリーレンは、長寿で他の種族と時間感覚が違うエルフの主人公が、仲間たちが老いていき、亡くなっていく寂しさを感じながら、それでも人間を知ろうと旅をする漫画。
話のなかで触れることがあっても、ちゃんと描かれることがないテーマに切り込んだ作品で、寿命の違いからくる時間感覚の違いや、残される者の感情が丁寧に描かれています。
葬送のフリーレンのあらすじ
魔王を倒した勇者一行の“その後”。
魔法使いフリーレンはエルフであり、旅をした3人とは違う部分があります。
彼女が後の世界で生きること、感じること。
そして、残った者たちが紡ぐ、葬送と祈りとは――。
物語は冒険の終わりから始まる。
英雄たちの生き様を物語る、後日譚ファンタジー。
ネタバレ注意!葬送のフリーレンを読んだ感想
原作者・山田鐘人さんの漫画
葬送のフリーレンの原作者・山田鐘人さんは、ぼっち博士とロボット少女の絶望的ユートピアという漫画を描いていました。
エルフと人間の寿命の違いという寂しいテーマに切り込んだ漫画
最近の異世界漫画だと、ラスボスとの戦いが終わるところから物語が始まり、勇者がスローライフをしたり、はたまた理不尽な扱いを受けて復讐ルートに突入したり、敵側に寝返ったりするパターンの作品も多くなってきた。
葬送のフリーレンもまた、勇者一行の旅が終わるところから物語が始まるのだが、描かれているのは、直近の話ではなく、魔王を倒してから何十年も後の話。
主人公は魔法使いのフリーレン。
人間にとって10年という歳月は、人生を変えるには十分すぎるほど長い時間。
しかしエルフである彼女にとっては、あっという間の出来事で、仲間たちが老いていくなか、フリーレンの美貌だけは変わらない。
人間誰しも寿命があって、それはどれだけ強かろうが、平等に存在するものだ。
勇者・ヒンメルの死は、フリーレンに大きな影響を与える。
もっと知っておけばよかったという後悔が、彼女を旅立たせた。
大切な人よりも先立ちたいか、看取りたいか。
そんな質問があるけれど、フリーレンは強制的に後者となる。
たくさんの魔法と、人と出会う旅。
時間の残酷さ、少しの寂しさ、色あせない思い出。
年齢を重ねた者にしか分からない“死”との向き合いかたを、考えさせられる良い漫画になっている。
仲間の最期のお願いを受け入れて弟子を取る
テーマとしては悲しいものだが、なにも暗い雰囲気に包まれているわけではないのも葬送のフリーレンの魅力で、まるで母親のようにしっかり者の弟子・フェルンとのやりとりが、とても微笑ましい。
amazonのレビュー数が、発売から1週間で200を超えた話題作は、心に響くようなストーリーが好きな人や、最近のファンタジー漫画はどれも同じに見えるという人にこそ読んで欲しい。
興味があるのなら、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
葬送のフリーレンを無料で試し読みする方法
葬送のフリーレンは小学館が刊行している漫画誌・週刊少年サンデーで連載中なので、サンデーうぇぶりより第3話まで無料で試し読みできます。
本作に興味がある人には、とんがり帽子のアトリエもオススメです!


