悩みの9割が人間関係だと言われていて、子供のころは、両親や学校など、自分で選べない環境に身を置かれ、努力で解決できない状況に苦しんだ人も多いはずだ。
今回紹介する少年のアビスは、最悪の家庭環境と過去の恩に縛られてしまった主人公が、生きる意味を見出せない活動休止中のアイドルと出会う、ボーイミーツガール。
最初から最後まで重々しい内容になっていて、心に余裕がない人や、体調が優れない人には閲覧注意で、人間の底知れない闇深さとか、誘惑に流されてしまう少年の感情がリアルに描かれていた。
少年のアビスのあらすじ
ネタバレ注意!少年のアビスを読んだ感想
作者・峰浪りょうさんの漫画
作者・峰浪りょうさんは初恋ゾンビやヒメゴト~19歳の制服~という漫画を描いています。
美しい表紙からは想像できないほどメンタルを削られる漫画
大人になってしまえば人間関係のリセットは自分次第なところがあって、引っ越しや転職など、勇気は必要だけれど方法はある。
しかし何をするにも周囲の協力が必要な子供の場合、地獄からの脱出は難しく、未来を諦めてしまってもおかしくないほど現実は残酷だ。
少年のアビスは、認知症の祖母の介護に疲れている母親と、引きこもりで暴力的な兄と暮らしている黒瀬令児という高校生が主人公で、彼はとっくに将来を諦めている。
家庭環境が最悪なだけでなく、過去に助けてくれた幼なじみに、恩返しという名のパシリをする日々という、これ以上ない地獄。
そんなある日、令児はコンビニ店員の女性が、ホームレスの男性に廃棄弁当を渡しているのを目撃してしまうのだが、その女性が活動休止を発表したアイドルの青江ナギだと知ってしまう。
ナギは令児に、悪魔のようなささやきと、天使のようなお誘いをして、二人は肉体関係を持つことになるのだが、ナギには夫がいた。
生きている理由が無いから死のうとしている青江ナギという女性
それが廃棄弁当を渡していたホームレスと思っていた男性で、しかも世間にはクズと認知されている著名な作家で……。
青江ナギという女性像を混乱させるような情報量が一気になだれ込んでくる。
先にも述べているが、少年のアビスは読んでいてゴリゴリとメンタルを削られていく。
全体的に色味が黒く、まるで梅雨の時期の曇り空。
少年の絶望感は想像にたやすく、お姉さんの空虚感もまた理解できてしまう。
少年のアビス1巻のクオリティはとても高く、これで短編漫画として終わってもおかしくないよなと思うラストは、同時に先を想像させるような魅力を持っている。
鬱展開に耐性があって、生々しい人間ドラマが好みというのであれば、読んでみてもいいのではないでしょうか。
少年のアビス(最新刊)8巻の発売日
少年のアビス8巻は2022年3月18日に発売予定です。
少年のアビスを無料で試し読みする方法
集英社が運営しているWEBマンガサイト『となりのヤングジャンプ』で3話まで無料で試し読みすることができます。