国や時代が変われば、常識や価値観が違うのは当たり前。
現代日本に住んでいる自分たちの感覚ではありえないことが普通に行われているから、良くも悪くも歴史や風習って興味深くて面白いんですよね。
さて、今回紹介するテンジュの国は、18世紀のチベットを舞台に婚約から始まる恋愛が描かれ、文化や歴史を知れるだけでなく、ほのぼのとした日常が魅力の漫画です。
今までこういう作品で有名なのは、乙嫁語りくらいしか無かったものですから、外国の歴史や文化を絡めた恋愛漫画が増えてくれると、個人的には嬉しいですね。
テンジュの国のあらすじ
ネタバレ注意!テンジュの国を読んだ感想
乙嫁語りやほのぼのとした漫画が好きな人におすすめ
これまでの歴史漫画といえば血生臭い物語になることが多く、流血描写に耐性が無い人にとっては、重くて読めない作品がほとんどでした。
ですから、恋愛を主軸に歴史や政治を絡めて物語に厚みを持たせ、圧倒的な画力で読者の心を鷲掴みにした乙嫁語りは、本当に凄い作品なんですよね。
それだけに、似たような漫画を読みたいって思っても、なかなか見つからかったんですけど……。
テンジュの国は、そんなニーズに応えるような漫画でした。
18世紀のチベットが舞台のほのぼのとした日常漫画
とはいえ、乙嫁語りと比較されたら数段レベルが落ちるのは事実。
そもそもマンガ大賞で1位に輝くような作品なんてめったにあるもんじゃありませんよ。
本作の主人公であるカン・シバは、医者見習いで、薬草取りが趣味という少年。
ある日、体調の悪そうな村人に薬を処方するために悩み事などを聞いていると、行商人らしき集団を見かけて「ありゃ花嫁背負ってるわ」と村人が呟く。
ひとりの男が真っ黒な布に包まれた人を背負っていて、後妻や婚約者を無理やり連れていくなど不穏なことを言っていたり、異文化の結婚観や風習が描かれていきます。
カン・シバもまた13歳にして結婚適齢期。
現代日本とは違う価値観がこの漫画にはあるんです。
婚約から始まる恋愛が描かれている
村人の薬を用意するためにカン・シバが自宅に戻ると、先ほど見かけた行商人たちの姿があり、担がれていた花嫁はモシ・ラティと名乗る。
このラティがとても可愛らしく利発な女の子。
薬やスープづくりを積極的に手伝ってくれて、言葉も文化も違う異国に嫁ぐということを楽しそうに話すラティに、嫁ぎ先は貴族か?と見当違いな反応をみせるカン・シバですが……。
実はこのラティはカン・シバの花嫁さんで。
婚約から始まる恋愛が描かれていくわけです。
本作は乙嫁語りと違ってそこまで画力が高いというわけではないが、チベットの風習や恋愛観など、現代に生きる自分からは想像できない感覚を楽しめる。
ラティはもちろん、妹のペマも可愛らしく、不器用なカン・シバとラティがどういう夫婦になっていくのかニヤニヤしながら読める漫画でした。