何を始めるにも早いに越したことはないし、遅すぎるなんてこともない。
年齢の壁っていうのは確実に存在すると思いますが、実際にそれをものともしない人たちも存在するわけで、何も考えずに行動できるかどうかって結構重要。
さて、今回紹介する海が走るエンドロールは、美大生の青年との出会いをきっかけに、65歳にして映画を撮影する側の人間になろうと思ったおばあちゃんを描く漫画です。
海が走るエンドロールのあらすじ
【ネタバレ注意】海が走るエンドロールを読んだ感想
作者・たらちねジョンの漫画
背中を押してくれる人間が多い優しい世界観
空想の世界を現実に引きずり出すには、とてつもない努力と才能が必要。
表現者を描く漫画はどれも鬼気迫る表情や、事実だけを淡々と述べる言葉の怖さがあります。
天才が視る世界の面白さ。
天才が創る世界の面白さ。
凡人からしたら「なんでそんなことに気づくんだろう」っていう観察眼の鋭さが羨ましく感じます。
海が走るエンドロールもおばあちゃんが主人公でありながら、他者との比較に苦しみながら映画を製作する漫画なのかなって想像していたんですけど……。
周囲には背中を押してくれるような優しい人間が多くて、ちょっと安心しました。
もちろん本気で映画製作に取り組むほど、苦しむ描写がでてくるかもしれませんけど、行動を始める前に足を引っ張るような人物がいないのは好印象でした。
65歳を過ぎ、夫と死別したうみ子さんには、BL作家らしい娘さんがいるんだけど、すでに表現者側にいる人が背中を後押しするのもいいですね。
うみ子さんは海という映像専攻の美大生に出会ったことをきっかけに、映画を撮るために学校でいちから勉強することを決心します。
ストーリー展開は、レールの上を走っている感は否めませんが『やりたいことがあるけど……』って人には間違いなくいい影響をもたらしてくれるでしょう。
マイナスな言葉を見つめなおすきっかけになる漫画
うみ子さんは他者と比較する前に、謙遜したり、年齢を言い訳にする自分と戦うことになります。
謙虚さは日本人の美徳とされていますけど、本心とかけ離れた言葉はときに自分を苦しめます。
「ただの老後の趣味だから……」
まるで言い訳のように。
自分の技術の拙さをごまかすように。
思ってもいない言葉がつらつらと溢れ出てしまって、あとから後悔する経験が誰しもあると思うんですけど……。
うみ子さんは若者に交じって勉強する特殊な環境下で、年齢というハンデを感じずにはいられません。
そしてうみ子さんを表現者側に連れてきた海もまた不思議な空気間をまとっている青年で……。
彼とどんな映像を製作するのか。
どういう人たちとうみ子さんが関わることになるのか。
息苦しさだけじゃない。
目標に向かって突き進む人間の眩さを感じさせてくれることを期待しています。
人間ドラマが好きな人におすすめなので、興味があるならぜひ読んでみてください。
【最新刊】海が走るエンドロール6巻の発売日
- Q海が走るエンドロール6巻の発売日はいつですか?
- A
2024年3月14日発売予定です。
【無料】海が走るエンドロールを試し読みする方法
海が走るエンドロールは秋田書店が刊行している漫画誌・月刊ミステリーボニータで連載中なので、公式サイトより無料で第1話を試し読みできます。