女性同士のスキンシップって凄いですよね。
トイレに一緒に行ったり、手を繋いだり。
親友が恋人レベルの位置づけに感じる瞬間が多々あります。
その距離感がデフォルトですから、女の子しか登場しない漫画と、百合漫画の境目が曖昧で、思っていたのと違うってなりがちなんですよね。
さて、今回紹介するメジロバナの咲くは、王子様系女子のヒロインの表情や仕草にドキドキする、海外の女学園とその寄宿舎を舞台に描かれるガールズラブ漫画。
綺麗を通り越してもはや美しい絵柄で、小説やドラマ、演劇のように、現実味を帯びているしっとりとした雰囲気をベースに、王道の姉妹関係に魅了されるGL漫画でした。
メジロバナの咲くのあらすじ
【ネタバレ注意】メジロバナの咲くを読んだ感想
著者・中村明日美子さんの漫画
複雑な人間性に魅力を感じる
物語の登場人物はこういう性格ですと、設定されがち。
でも、現実では、そう簡単に自分を言い表すことって難しいですよね。
底抜けに明るい人だって、落ち込む瞬間はあります。
初対面で暗く感じる人も、その日に何かしら気分を損ねる要因があっただけかもしれません。
性格は長年一緒にいて初めて理解できるものですし、それもまた人間の一面でしかありません。
ひとつの言葉に当てはめれるほど人間は単純じゃない。
そう分かっているはずなのに、どういう人が好きって、空虚な会話をしてしまうんですよね。
メジロバナの咲くの主人公・ルビーは、友達や目上の人に対する態度、表情や言葉遣いがコロコロ変わる、人間らしさが魅力的に描かれています。
角度を変えれば真面目にも不真面目にも見える。
良い子にも、悪い子にも。
人物造形の深さが、小説を読んでいる感覚なんですよね。
姉妹のような先輩後輩の関係性が描かれる
海外の女学園を舞台に描かれているので、言い回しとして正しいのかは分かりませんが、幼稚さがまだ残っている女子高生っぽい感じがよく表現されています。
両親の不仲が末期にさしかかり、気丈に振舞っていたつもりが、追い込まれていたルビー。
精神状態が不安定なときにルビーは、鋼のステフと呼ばれる上級生と出会い、彼女の不器用な優しさと亡命した際に怪我をした過去を知り、気になる存在になっていく。
ルビーはステフに甘えているし、わがまま。
それを受け入れるステフの度量の広さは、さすが王子様系女子!と思うし、ステフのクールな表情が崩れる瞬間もちゃんとあって、それがまた凄くいいんですよ。
スキンシップが多めで、距離感が近い。
しかも、恋人が欲しくなる多感な時期。
学校や寄宿舎という密閉された環境が、同性愛を開花させます。
言葉ではなく目線や表情・仕草で語る漫画
結局のところ中村明日美子先生の表現力が凄い。
目は口程に物を言うとはいいますが……。
よくしゃべり、表情豊かなルビーとは対照的に、秘密を抱えているクールなステフは、目の動きや仕草で読者をドキドキさせます。
唇が重なる瞬間ではなく、その手前からの雰囲気づくりがめちゃくちゃ上手。
ステフを奪い合うライバルとの三角関係とか、王道な少女漫画の設定を、大人向けのGL漫画に昇華させたみたいな緊張感があっていいんですよね。
派手さは無いけど、しっとりとした読み心地が魅力的なので、興味があるならぜひ読んでみてください。
【最新刊】メジロバナの咲く4巻の発売日
- Qメジロバナの咲く4巻の発売日はいつですか?
- A
2024年8月30日発売予定です。