どういう内容だった?って聞かれても、どう伝えるべきか言葉に詰まる漫画って好きなんですよね。
恋愛に発展するかもしれないし、そうならないかもしれない。
気になる=好きではなく、好奇心や憧れという別の感情である可能性だってあるじゃないですか。
丁寧に人間を描いているからこそ、読者にこれからどうなるんだろうと、想像する余地が残ります。
さて、今回紹介する破滅の恋人は、優等生な少女とミステリアスな美女が出会い、ゼロから関係性が構築されると共に、少しずつ素性が明かされていく人間ドラマが魅力の漫画。
まるで小説のような読み心地をおぼえる丁寧な心理描写に加えて、綺麗な絵柄や独創的なコマ割りに魅了される、年間5本の指に入るレベルで印象的な漫画でした。
破滅の恋人のあらすじ
【ネタバレ注意】破滅の恋人を読んだ感想
著者・郷本さんの漫画
心理描写も表現力も兼ね備えたトップクラスで魅力的な漫画
いやぁ、マジで、どストライク。
一般文芸小説をコミカライズした作品と読み心地は似ているんですけど、独創的なコマ割りや綺麗な絵柄を併せ持っていて、本当にレベルが高い漫画でした。
まだ、物語の主軸となる二人が出会っただけに過ぎないのに。
まだ、どういう物語になるのかわからないのに。
それでもグッと惹きつけられるものがありました。
女性二人が主軸の物語と聞くと、真っ先に百合かな?って思ってしまうんですけど、必ずしもそういう漫画になるとは限りませんよ。
というか、子供と大人で年齢差がある設定。
手を出したら犯罪になる時点でそうはならんか。
良い子であることをマイナス寄りに捉えている少女の魅力
自分は子供の頃、真面目と評価されるのが、なんだか面白みのない人間と言われているようで、気に食わなかったのを覚えています。
先生に怒られずに過ごすなんて簡単なのに。
反抗的な生徒が面白いヤツ・人気者扱いされているのが、本当に意味不明でした。
しかも集団生活って基本的に真面目なヤツが損をする仕組みになっているんですよね。
先生には作業を押し付けられがちだし、連帯責任で巻き添えをくらうし……。
だからこそ、本作の主人公・アリスが良い子であることに疑問を持つ瞬間に共感できます。
ほんの少しだけ、怒られない程度に寄り道をしたい。
けれど、そんな勇気が出なくて自分は良い子であり続けるみたいな自己嫌悪に陥る。
わざわざ人に怒られることをしないだけなのに。
真面目とか、いい子ちゃんとか言われると、凄く気持ち悪いんですよね。
破滅の恋人の主人公・アリスからは、一言では表現できない人間の複雑さが滲み出ています。
お嬢様然とした態度なんだけど、その中身はどこにでもいる普通の女の子。
同年代の子に比べれば精神年齢は高そうなんだけど、心の音が飛びだす瞬間は年相応に見える。
そんなアリスはピアノを習っていて、ある楽曲で表現力の乏しさにつまづいてしまいます。
クラスメイトの女子がなぜマニキュアを塗って喜んでいるのか理解できない。
そういえば、あのお姉さんも赤いマニキュアを塗っていたな、どうしてなんだろうと、自分の知らない大人の姿をしているお姉さんの存在がどんどん気になっていくんです。
自分に無い何かを持っている人物に惹かれる気持ち、よく分かります。
幽霊もしくは魔女のようなミステリアスなお姉さんの魅力
幽霊屋敷の主であるお姉さんの魅力は、なんといってもダウナーな雰囲気。
知り合いの男に襲われかけていたり、険悪な関係性の幼馴染の男がいたり、過去が気になりすぎる。
自分の家が幽霊屋敷扱いされ、肝試しの場所に利用されても気にしない豪胆さと、ぬいぐるみを直してあげる優しさを兼ね備えているのもいいんですよね。
誰と会話しているかで、人の見え方が違うのは当たり前なんですけど、設定や性格に囚われて量産型になっているキャラクターも多いですから。
そういう漫画が多いなかで、人間への解像度の高さはとても魅力的でしたよ。
対照的な二人が出会い、どのような物語が紡がれていくのか。
ラブコメのように派手な物語よりも、恋愛漫画のようにじっくりと関係性の構築が描かれる漫画が好きな人におすすめなので、興味があるならぜひ読んでみてください。
【最新刊】破滅の恋人2巻の発売日
- Q破滅の恋人2巻の発売日はいつですか?
- A
2024年8月30日発売です。