歴史を題材にすることは、すなわち血生臭い戦記モノであり、登場人物の誰かは悲劇的な人生を歩んでいて、常に不穏な雰囲気を漂わせる漫画が多い印象があります。
といっても、誰も彼もがしんどい想いで生活していたわけではなく、いつの時代にも活気ある街並みは存在していたはずなんですよね。
さて、今回紹介する河畔の街のセリーヌは、19世紀フランス・パリを舞台に、まだ自分探しの旅の途中である少女が、色々な職業体験をしながら人間観察をする日常系漫画です。
当時のフランス人がどういう仕事をして、どんな生活を営んでいたのかを中心に描かれているので、派手さはありませんが、民俗学的な知的好奇心をくすぐられる漫画でした。
河畔の街のセリーヌのあらすじ
【ネタバレ注意】河畔の街のセリーヌを読んだ感想
日之下あかめの作品
戦記や政治ではなく人々の暮らしが描かれる日常系漫画
単行本が発売される前から、次にくるマンガ大賞2022コミックス部門にノミネートされていて、凄く気になっていたんで購読しました。
歴史を題材にしながら、政治や血生臭い戦いから切り離された、人々の生活を描く日常系漫画。
もちろん1巻を読んだ時点の話なので、今後政治的なニュアンスが加わる可能性も無きにしも非ず。
いやぁ、こういうのめちゃくちゃ好みです!
人によっては地味だとか、物語に起伏が無いから面白くないって言われるんだろうけどね。
誰も彼もが唯一無二の作品を目指して特殊な設定を加えるから、こういう普通の生活に焦点を当てる漫画って、逆に珍しいんですよ。
表紙からは綺麗目な絵柄を想像するかもしれませんが、読んでみると意外と幼くて可愛い絵柄でした。
少女に語りかける大人の言葉がしっとりと心に響く物語
自分探しの旅の途中にいる14歳の少女が、偶然出会った老紳士の代わりに、様々な職業体験をとおして人間観察をしながら、新たな気づきを得ていく。
現代も学歴社会だし、希望している職業に就職できるかどうかは自分次第ですけども、当時のフランスには貴族階級があり、生まれながらの社会的地位で人生が決まっているようなものでした。
今でも生きづらさを感じている人達は多いのに。
当時の女性に職業選択の自由がなくて苦しかったのは想像に容易いですよね。
そんななか、本作の主人公・セリーヌは、愛想が悪いからと接客業をクビになった矢先に、幸運にも仕事を紹介してくれる老紳士と出会います。
彼はフランスの風俗観察集みたいな本の制作に、年老いた自分の代わりに目となり足となり、様々な職業体験を通して、話を聞かせて欲しいと協力をお願いするわけです。
多くのことを経験するためにパリに来たセリーヌにとっては好都合。
自分探しの途中にいる少女の視点。
周囲の大人たちが彼女を導く様子。
しっとりと心に響くような物語となっています。
過去を知ることで、今を生きるありがたみをひしひしと感じる。
セリーヌをパリに送り出した先生は何者で、どんな関係なのか?
様々な経験をした彼女が、満開の笑顔をみせてくれるのを楽しみに読み進めたいと思います。
【最新刊】河畔の街のセリーヌ2巻の発売日
- Q河畔の街のセリーヌ2巻の発売日はいつですか?
- A
2023年2月9日発売です。