学生のころは、テレビのインタビュー映像で、渋谷にいる高校生が若者代表として扱われているのが凄く不満でした。
よくよく考えれば、そこに何の意図もない。
東京のテレビ局が近場で仕事をしているだけだと理解できるんですけど……。
そもそも都会って日本でも数える程しかないわけですよ。
普通の街、そして田舎が9割を占めていますよね。
それなのに、なんで学校帰りに寄り道し放題な大都会の学生。
しかも明らかに頭の悪そうな人が若者代表として扱われるんだって嫉妬していました。
そんな話はさておき、今回紹介するシブヤニアファミリーは、都会育ちを自負する小学生が、現代っ子らしい視点で世相を斬る言葉の掛け合いが魅力的な漫画です。
大人びた口調とは裏腹に、面白い着眼点やとりとめのない話のオチは子供らしく、世相を斬る漫画で読者に嫌われないキャラクターを描くバランス感覚に感嘆させられました。
シブヤニアファミリーのあらすじ
【ネタバレ注意】シブヤニアファミリーを読んだ感想
著者・久米田康治の漫画
文字量や小ネタは多めで疲労度はやや高めな漫画
家族や兄弟姉妹を前面に押し出している漫画って、基本的に穏やかな雰囲気だったり、癒されるような話がメインじゃないですか。
でも、シブヤニアファミリーは全然違う。
世相をぶった斬るという新感覚の家族漫画なんです。
都会暮らしを自負している小学生の視点や感性で物事を語る。
ですから当然、クラスメイトや家族との会話も多くなります。
小さいコマひとつにも、そこに時事ネタとか社会風刺みたいな毒舌が絡んでくるので、サラッと読むクセがついている自分は何回も読み返したりしてけっこう忙しい漫画でした。
とはいえ、その詰め込まれている感もまた魅力。
人によって捉え方、好みは違うでしょう。
文字量が多い・読み応えのある漫画が好きな人には合うし、逆に頭を空っぽにして読める漫画を求めている人には合わないと思います。
話の構成やキャラクターの作り方にセンスを感じる
個人的にシブヤニアファミリーは、内容が超面白い!というより、著者・久米田康治先生のバランス感覚というか、話作りのセンスに感嘆させられた漫画でした。
自然豊かな田舎で子供を育てるのが素晴らしくて、都会で暮らすのは子供のためにならないみたいな風潮に疑問符をつける冒頭で、物語に惹きこまれます。
渋谷に魅了された小学校教諭・鳥居寛は、渋谷感を出す係というわけわからん渋谷係を、本作の主人公・都加逸子に任命するんですけど……。
こういう不思議成分を混ぜて、コメディ調に仕上げることで、角が立たない世界観が完成しています。
シブヤニアファミリーはそんなに攻撃力が高いわけじゃないんですけど、世相を斬る、風刺をきかせるタイプの漫画は好みがハッキリわかれる印象があります。
しかし、子供にしゃべらせることで、万人受けするようなマイルドな内容になっていますし、話のオチを逸子の子供らしい一面で締めくくることで、そこにギャップを感じて凄くいいんですよね。
鳥居寛=かんとりー。
都加逸子=都会っ子、都加祷=都会の利。
都加維人=都会人、都加伊澄=都会住み。
片寄藍、西仁亀エル、美桜ロスチャイルドなど。
遊び心のあるネーミングセンスも自分はけっこう好き。
SDGsに対して17の目標って多くね?もっと絞った方がよくね?って指摘、世論形成やブランディング能力を語る描写などなど。
トーク番組やラジオ、雑談配信みたいな他人の思考にふれるのが好きな人におすすめな漫画なので、興味があるならぜひ読んでみてください。
【最新刊】シブヤニアファミリー3巻の発売日
- Qシブヤニアファミリー3巻はいつ頃発売ですか?
- A
2024年3月18日発売です。