【髪を切りに来ました】沖縄の離島で不器用な父子が成長していく家族漫画

田舎暮らしに憧れて移住したはいいものの…。
何もない現実に耐えきれなくなったというのはよく聞く話です。

今回紹介する髪を切りに来ましたは、沖縄の離島に移住してきたワケアリの父子と、住民たちのやりとりを描いた心に響く物語なんですけど、他の移住漫画とは一味違いました。

髪を切りに来ましたのあらすじ

ネタバレ注意！髪を切りに来ましたを読んだ感想

作者・高橋しんさんの漫画

髪を切りに来ましたの作者・高橋しんさんは最終兵器彼女や雪にツバサ、花と奥たんやかなたかけるなど多くの漫画を描いています。

沖縄の離島での田舎暮らしを描く漫画

本作は沖縄の離島として描かれているため、方言や食べ物など地域特有のモノが出てきます。

沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎるや、青の島とねこ一匹ほどコミカルではありませんけど、こういう地方に移住する漫画って好きなんですよね。

成長途中の親子関係が描かれている漫画

物語は島に上陸したところから始まります。
島の案内係の聡美さんに連れられて父子が向かった先は、10年以上空き家だった住居で、ある一室は天井に穴が開いているという凄い状態。

一星はとても大人しい少年。
口数が多いタイプではないものの、緊張している様子は凄く伝わります。

睦は「今日と明日のミッションは決まったぞ。1つ、家を今晩寝られるようにする……」と敬礼しながら気丈にふるまってみせます。

睦は一星のことをよく見ているし、親子関係は良好ですが、どことなくぎこちない雰囲気。

というのも一星の母親は仕事で海外に行ってしまったらしく……。

そもそも睦と一星に血縁関係があるのかどうかも不明で……。

睦は一星とちゃんと向き合おうとしている途中なんです。

心理描写やセリフがグサッとささる

普通の田舎漫画であれば近隣の住民が最初から親切で…みたいな感じで描かれていることが多いですが、本作の場合は距離感がある状態からのスタート。

というのも今まで移住してきた住民は『……大変じゃない案件なんてなかったですよ。半年持てば…いいけどな』と、いなくなる前提の人間関係でしかなかったから。

口ではなんとでも言える。
しかし「裏切られたと思うのはあっちからしたら心外かもしれんな、勝手に期待してからによ」と…。

親切にした思いが返ってこなくなったら。
それが何回も繰り返されたら。
本作は読んでいてハッとさせられることが多い漫画でした。

高橋しんさんの、線が細く透明感のある絵柄はどこまでも優しい世界観をつくっています。

新天地でお父さんとして頑張る睦。
子供にしか分からない世界に飛び込もうとしている一星。

1巻の最後の方には不覚にも泣きそうになりました。
波乱万丈なんていらない……。
この親子の田舎暮らしを最後まで見守っていきたいと思います。

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