異世界転生の主人公って、自分の死を一瞬で受け入れるから人間味を感じないんですよね。
じたばたしても状況は変わらないにしろ、天涯孤独じゃないなら感傷に浸れよなって思っちゃいます。
でもまぁ、今自分が生きてるし、他人事だから勝手なこと言えるけど、もしも自分が死んだらって考えると、残された家族の心情を考えたくない気持ちは理解できます。
さて、今回紹介するシェパードハウス・ホテルは、この世に未練を残して亡くなった幽霊のお客様を成仏へと導く、特殊なホテルを描くお仕事漫画。
しんみりとした雰囲気とユーモアの塩梅が絶妙な一期一会の物語で、読書感のある漫画でした。
シェパードハウス・ホテルのあらすじ
【ネタバレ注意】シェパードハウス・ホテルを読んだ感想
作画担当・はまぐりの漫画
表紙買いして損はない!ハイクオリティな人物描写
めっちゃ表紙がスタイリッシュでカッコいいですよね。
本屋で一目惚れしてそのまま購入してしまいました。
表紙の質感はザ・普通なので、電子書籍でも良かったんですけど、衝動にはあらがえませんでした。
とはいえ、大事なのは中身の絵がどうなんかって話ですよ。
静止画であるイラストと、漫画の絵が上手いかは別の話。
実際に漫画を読んだら、思ってたのと違う……って感想は漫画あるあるじゃないですか?
でも、シェパードハウス・ホテルにその心配は必要ありませんでした。
カナダのアルバータ州が物語の舞台になっていることもあって、とにかく人物描写がスタイリッシュ。
主人公・ホンダのキャラデザとか渋くてたまりません。
フロントマンらしいビシッときめた服装も髪型も。
なにより、横顔のフェイスラインがマジでカッコイイ!
また、生真面目で堅苦しい雰囲気でありながら、涙もろい人情味あふれるキャラなのもいいんですよ。
本作のヒロインである、ホテルメイドのモアは、ミステリアスでダウナー雰囲気のお姉さん感があるんですけど、場面によっては陽キャな少女にもみえます。
自分はこういう二面性のあるキャラも凄く好き。
人間って一言で表現できるほど単純じゃないですよね。
モアもホンダも色々な表情を見せてくれて、読んでいて凄く楽しい漫画でした。
悲劇と喜劇の性質を持つトラジコメディー漫画
トラジコメディって、自分は初めて聞きましたよ。
いわゆる、悲喜劇ってやつですね。
あなたはご存じでしたか?
よく見たらあらすじにも幽霊がうんたらかんたらは書いてあるんですけど、自分はタイトルからホテルマンのお仕事漫画だと思って読み始めたので、最初は驚きました。
端的に言えば、幽霊が訪れるホテルで成仏を手伝う漫画。
そう書くとホラー漫画みたいですよね。
でも、心霊的な恐さはありませんし、そういうのを期待して読む漫画ではありません。
描かれているのは一期一会的な物語。
そして、ホンダとモアにとってトラウマとなっている凄惨な事件が内に秘められています。
人間の死と永遠の別れ、そして事件。
これだけ重い題材を扱いながら、しんみりとした雰囲気一辺倒になっていない、ちゃんとユーモアを感じるのがこの漫画の魅力だと思います。
ホテルを訪れるお客さんたちの死への向き合い方、未練の断ち切り方というか納得の仕方も三者三葉で、人間ドラマとして凄くクオリティが高い漫画でした。
考えさせられる系の漫画が好きな人におすすめなので、興味があるならぜひ読んでみてください!
【最新刊】シェパードハウス・ホテル3巻の発売日
- Qシェパードハウス・ホテル3巻の発売日はいつですか?
- A
2024年1月18日発売予定です。