漫画の面白さや上手さに、絵の綺麗さや上手さが必要かといわれると、そうじゃないってのは進撃の巨人や王様ランキングなど、数多の有名作品が証明しています。
もちろん画力は無いよりもあった方がいいに決まってますけど、そもそも上手い・下手って、本当に絵を理解しているのか?って話になってきますよね。
さて、今回紹介するルックバックは、漫画を描く才能と絵を描く才能を持った少女二人の青春、違う世界線の自分たちが交差する鳥肌級の短編漫画でした。
ルックバックのあらすじ
ネタバレ注意!ルックバックを読んだ感想
作者・藤本タツキさんの漫画
才能とは何か?面白いとは何か?について考えさせられる
自分が漫画の感想を書くときも、絵が綺麗かどうかは誉め言葉として使用しています。
もちろん、それは私個人の主観。
他の人から見れば好みじゃないって場合も全然あります。
人物を描く上手さ、背景を描く上手さ。
戦闘描写の躍動感の凄さ。
読者に情景を分かりやすく伝える凄さ。
同じ絵が上手いという評価のなかでも、これらは全部違う才能。
さらに漫画を描く才能には、物語を紡ぐ力も必要で……。
みんな漫画を購入するときに『面白い漫画』で検索しがちですけど、単語ひとつに当てはめれない凄さや魅力ってあるんですよね。
例えば、東京喰種の残酷で重ぐるしい世界観。
ワンピースの緻密で複雑な伏線とワクワクする冒険譚。
理解不能なギャグの応酬が繰り広げられるボボボーボ・ボーボボ。
これらが同じ面白いという単語ひとつで評価されるのって違和感ありませんか?
ギャグ・ラブコメ・王道ファンタジー漫画で面白いって評価は理解できるんですけど。
無意味にキャラクターが何人も死ぬような作品に面白いって言うのは、なんか違うと思うんですよね。
誉め言葉にも色々あるだろうと。
誰かに伝えたい、共有したいなら。
面白いは一撃必殺だと思って、簡単に使わずに。
語彙を増やしたり、別の言い回しにしてほしい。
ルックバックを読んでいると、今まで漠然とした不満みたいなのが一気に溢れ出てきて、書かずにはいられませんでした。
才能への嫉妬と奮起が夢への挑戦を加速させる青春時代
ルックバックは学校の新聞で4コマ漫画を毎週描き、みんなの人気者だった藤野と、引きこもりでありながら綺麗な絵を描く天才ライバル・京本の物語。
藤野は純粋な絵の上手さに嫉妬し、憧れ、挫折するんですけど。
京本は藤野の漫画を描く才能に惚れていて、同級生でありながら藤野先生と呼ぶほど尊敬していました。
単純だけど、小学生にとっては夢を追いかけるには充分すぎる動機。
そんな二人が一緒に漫画を描くようになった青春。
大人になって別々の道を歩む人生が描かれています。
いつなにが起こるか分からないよねって、単純な物語ではなく、そこから二転三転する凄さ。
鳥肌がたつなんて、漫画を読んでいて初めて経験しました。
SNSで話題になっていたのも頷けますし、これでも表現が下方修正されているらしいんですよね。
扉の前に幾多にも重なったスケッチブックは、どれだけ練習したのか伺えますし。
どれだけの年月、繰り返し続けているのか、背中で語る表現も凄く好きです。
作中の漫画『シャークキング』が11巻で止まっているのも、京本が扉の絵を描いているのも、チェンソーマンを想起させて、別の楽しみ方が出来ました。
読後に感傷に浸れる漫画が好きな人におすすめなので、興味があるならぜひ読んでみてください。
ルックバックを無料で試し読みする方法
ルックバックは集英社が運営しているWebマンガサイト・少年ジャンプ+で公開されていたので、無料で第1話を試し読みできます。