将来自分がどうなりたいのか、何を学びたいのかを考えて、大学受験するものだと思うが、入ってみたら予想外な授業を選択するはめになったという経験がある人も多いのではないだろうか。
今回紹介するほしとんでは、行けそうな大学がほとんどなかったという無気力状態で芸術学部に進学した主人公が、個性的なメンツが集まる俳句ゼミに入ってしまい、ゼロから俳句を学んでいくという本格的な漫画。
文学・文芸というジャンルを描く漫画はまだ少なくて、百人一首ではちはやふる、川柳を題材にしたラブコメでは川柳少女、小説を題材にした作品だと響~小説家になる方法~などが挙げられますが、ほしとんでは俳句の代表例になる漫画になると思います。
ほしとんでのあらすじ
ガイコツ書店員の本田がおくる本格<俳句>青春グラフィティ!!
個性際立つ人が多い芸術学部――その中でも尾崎流星(18)が入ったのは、強烈な生徒ばかりの「俳句ゼミ」で!?
切れ字って? 季語って? 淡々とした性格の流星と濃ゆ~い俳句ゼミメンバー俳句は果たして上達するのか。
ネタバレ注意!ほしとんでを読んだ感想
作者・本田さんの漫画
ほしとんでの作者・本田さんは、2018年10月にアニメ化されたガイコツ書店員本田さんを描いていました。
ゼロから俳句の楽しさと難しさを知っていく漫画
「文芸学って1年のゼミ学校が勝手に決めてんだよね。行きたい小説ゼミ入れた?」
「うん、えーと…俳句ゼミ入ってた」
ほしとんでの主人公・尾崎流星は、趣味の文章表現を続けていたら、行けそうな進学先が八島大学芸術学部の文芸学専攻しかなかったという、無気力そうな青年。
いっぽう、友人の戎原航太郎は芸能一家に生まれて自身もモデル・俳優活動をしている有名人で、映画学専攻というなんともアンバランスなふたりの会話から物語が始まる。
大学は学部を選んで進学するはずなのに、興味のない分野の授業を選択しないといけないみたいなのは割とよくある話で、流星にとっては俳句ゼミがまさにそれ。
俳句ゼミに入ったメンツは個性的な人物ばかり。
漫画ヲタクの寺田春信、チェコと日本のハーフというレンカ・グロシュコヴァー、脳内用語がネットに支配された文学少女の川上薺や、赤ちゃん連れの母親の井上みどり。
そして講師の坂本十三は「俳句は難しい。上手いからってモテることもないし、本は売れないし。でも知ると結構楽しいよ」と笑みを浮かべる個性的な先生。
ガイコツ書店員本田さんを読んだときも思ったが、とにかく癖の強いキャラクターと表情を描くのが上手で、真面目に俳句の説明をしている描写と、ギャグパートが両立しているが本当に不思議でならない。
面白い授業を聞いている感覚になる
自分はYoutubeで珍しい魚をさばいている動画とか、心霊スポットとか廃墟を探索している動画とかをけっこう見るんだけど、それは好奇心をくすぐられたり、自分の知らない世界を知りたいという欲求があるから。
本作にも知的好奇心をくすぐる一面があり、まるで一緒に俳句の授業を受けている感覚になって読んでいて楽しい漫画だった。
芸術の分野だから、みんなの前で発表したり、講評は存在し、ときにはボロクソにけなされることもある。
そんななかで流星の淡々とした表情や俳句ゼミのリアクションは面白くて、個人的に「今日は迷惑かけちまったなの顔」という一コマはツボにはいった。
ほしとんで(最新刊)5巻の発売日
ほしとんで5巻は2021年8月12日に発売です。
ほしとんでを無料で試し読みする方法
ほしとんではLINEが運営している漫画アプリ内のレーベル・ジーンLINEで連載されていたので、無料で第2話前編まで試し読みできます。


