北海道で本物の寒さを味わってみたいし、屋久島で大自然を眺めてみたいし、大阪で本場のたこやきを食べてみたいし、なんなら若いうちに47都道府県を制覇したい。
旅行というものは目的があって行くものですが、今回紹介するざつ旅-That’s Journey-は、twitterのアンケート機能で多数決をとって大雑把に行き先を決める特殊な旅行漫画です。
ざつ旅-That’s Journey-のあらすじ
ここではない、どこか。そこに私が待っている――。
新人漫画家の鈴ヶ森ちかは、ネームを持ち込む度に全ボツを食らっていた。
心が折れかけた彼女だが、唐突に旅に出ることを思い立ち――。
ざつな旅だからこそ癒やされる、究極旅コミック!
ネタバレ注意!ざつ旅-That’s Journey-を読んだ感想
作者・石坂ケンタさんの漫画
新人マンガ家の苦悩と旅行記が描かれる
旅行というものは本来、行きたい場所や見たいものがあってするものですが、インドア派の人はともかくとして、どこか行きたいという漠然とした感情は誰しも抱えていると思います。
本作の主人公・鈴ヶ森ちかは、漫画賞に入賞したものの連載まで辿り着くことができない新人漫画家。
担当編集との打ち合わせに気合を入れて臨むも、すべて空振り。
「どっか消え去りたい…どこか旅に出たい…」
と、呟くほど最悪な心理状態のときに。
たまたま目に入ったのが、サイコロを振って目的地を決める旅番組でした。
それに触発されるように鈴ヶ森はtwitterで『もういっそ旅に出ます!東京からどっちに向かえばいい?上の方・右側・左でしょ・下へ』と適当にアンケートを取るわけです。
鈴ヶ森が師匠と呼ぶ糀谷冬音にリツイートされることで、アンケートに票が集まるほど拡散され、有言実行せざるを得ない状況になる……というのがざつ旅の始まりです。
国内の観光地を巡るゆる旅漫画
ざつ旅1巻では福島県・会津若松の東山温泉や、宮城県にある日本三景・松島、富山県の宇奈月温泉に友達と遊びに行ったりする様子が描かれています。
人間関係の煩わしさから解放される一人旅も。
たわいもない会話を延々と続けたり、感動をその場で共有できる友人との旅行も。
ざつ旅ではどちらの魅力もしっかりと描かれていました。
しかも、計画を立てない行き当たりばったり感がまた良い雰囲気をつくっているんですよね。
職業がマンガ家の漫画はけっこうあるんですけど、そのほとんどが中堅以上の設定。
仕事としてやっていけるかギリギリの新人が模索している様子が描かれるのは新鮮でした。
1つのエピソードに対する観光地や背景の密度は少なめなので、旅行漫画として物足りなさも多少感じますが、それを補うキャラクターエピソードの魅力があります。
ゆるい趣味が描かれる漫画が好きな人におすすめなので、興味があるならぜひ読んでみてください。
ざつ旅(最新刊)6巻の発売日
ざつ旅6巻は2021年12月25日に発売です。
ざつ旅を無料で試し読みする方法
ざつ旅はアスキーメディアワークスが刊行している漫画誌・電撃マオウで連載中なので、公式サイトより無料で1話試し読みできます。


