知能が著しく低いキャラを描くのって、天才と同等以上に難しそうだと思うんですけど、実際に頭が悪いだけでなく、常識が欠落した主人公ってなかなかいませんよね。
今回紹介するチェンソーマンは、週刊少年ジャンプとは思えないほど、底辺で生きてきたクレイジーな主人公と、悪魔が悪魔を殺すスプラッターでダークなバトル漫画。
鬼滅が爆発的に流行し、呪術廻戦が受け皿となったことで、読者のグロ耐性が引き上げられて心の準備万端だったからこそ、この才能が埋もれなかった。
万人受けする内容ではないし、主人公の頭はお花畑で下品だし、子供がいる家庭では気を使うレベルで苛烈な世界観なんですけど、今の時代だからこそ評価されている漫画だと思います。
チェンソーマンのあらすじ
【ネタバレ注意】チェンソーマンを読んだ感想
著者・藤本タツキの漫画
時代と才能が上手く噛み合った異色のスプラッタ―漫画
みなさんも、大ヒット作品を生み出した漫画家さんが、別の出版社に持ち込みをしていたとか、そういう類の話を聞いたことは一度や二度はあるでしょう。
逃がした魚は大きいのは事実。
しかし、そのときの連載状況や雑誌の色というものは間違いなくあって、そこで漫画を描いたとして大ヒットしたかは別の話なんですよね。
個人的にチェンソーマンはそういう類の漫画。
鬼滅の刃で主力キャラクターの死が普通に描かれ、呪術廻戦でグロい世界観で耐性が引き上げられているタイミングで、話題をかっさらいました。
必要だったかどうかはさておき、ワンピースの某キャラとか、ナルトの某キャラが死んだ直後とかだったら、この漫画が酷評されていた世界線も普通にあったと思います。
ありとあらゆる耐性が必要不可欠な世界観の漫画
というのも、本作の主人公・デンジは亡くなった父親がつくった借金地獄のせいで、まともに教育を受けれずに育った男なので、まさに野生児みたいな存在なんです。
胸を揉みたいという欲望に忠実で、知性が欠落している主人公は一周回って愛らしく感じます。
とはいえ、そういうキャラが苦手な人もいるでしょう。
しかも、何度も述べているように、チェンソーマンはスプラッターでダークな漫画なので、誰がいつ死んでもおかしくない不安定さが、メンタルを揺さぶってきます。
疲れているとき、心が不安定なときに読める漫画ではありません。
ド底辺の男がデビルハンターとして生きる
本作の主人公・デンジの人生は借金地獄。
亡くなった父親がつくった借金を返済する毎日に、デンジは疲弊していました。
そんなときに出会ったのが悪魔のポチタ。
なんやかんやあって、このポチタのおかげで力を得て、デビルハンターとして生きていくわけです。
表紙に描かれているのはデンジがポチタに力を借りた姿。
悪魔との戦いはまさにゾンビ映画そのもの。
血が舞い、人の首が飛びます。
週刊少年ジャンプとは思えないほど荒々しくスプラッター。
人の命が恐ろしく軽い、暗くて重い漫画。
それがチェンソーマンという漫画なんです。
どういう漫画か書けば書くほど、なにが面白いのか、どこが魅力的なのかよく分からん。
ただひとつ言えるのは、SF漫画みたいに、物語がどう展開されていくのか分からない、理解不能な状況を楽しめる人には、ページをめくる手は止まりませんよってことですかね。
ミステリアスで魔性の女たちに翻弄される主人公
デンジはヤクザ相手に大暴れした後、マキマという女性に出会うんですけど、これがまぁミステリアスで、男の欲望をもてあそぶ魔性の女。
女性を知らないデンジは、彼女の優しさにコロッと落とされてしまい「悪魔として私に殺されるか、人として私に飼われるか」という選択肢を与えられ、デンジの犬扱いは続いていきます。
デンジは類をみないほど欲望に忠実。
そしてヒロインたちがドS系お姉様だらけで、クールなヒロインが好みな自分としては最高でした。
チェンソーマンは次にくるマンガ大賞2019では第2位に、このマンガがすごい2021オトコ編では第1位と、多くの漫画賞に名を連ねた話題作です。
最近では約ネバ、鬼滅、呪術、東リベなどダークな魅力がある漫画が流行りやすいけれど、チェンソーマンも、これらの漫画に続いていく作品になると思っています。