男性の場合は性を知る分かりやすい物があるけれど、女性の場合は、いつそれを認識するのだろうか。
今回紹介する荒ぶる季節の乙女どもよは、文芸部に所属している5名の女子が性を強く意識しながら青春に翻弄される様子を描いている漫画で、こういうテーマで女性キャラが物語の中心人物になることは珍しく、繊細な心理描写が魅力となっている。
あまりにも複雑な乙女心を5人分描いていて、メッセージ性が強い作品にもかかわらず、全8巻というコンパクトに物語をまとめている凄い漫画です。
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荒ぶる季節の乙女どもよのあらすじ
【ネタバレ注意】荒ぶる季節の乙女どもよを読んだ感想
作者・岡田麿里さんと絵本奈央さんの漫画
荒乙の原作・岡田麿里さんはあの日見た花の名前を僕達はまだ知らないの脚本を担当していて、漫画の絵本奈央さんはそれでも僕は君が好きを描いていました。
共感性羞恥にはしんどいけれど読み応えのある素晴らしい漫画だった
自分は共感性羞恥なので、誰かが怒られていたり、恥をかいていたりするシーンがとにかく苦手で、ドラマとかドッキリ番組とか映画かほとんど観れない。
漫画だとジャンルや表紙の雰囲気で、これは大丈夫そうだなっていうのが分かるので大好きだけど、荒乙は思春期真っ只中の女子高生たちの心理描写がとにかく丁寧に描かれているので、読んでいてしんどいなと感じることは正直多かった。
女性視点で性を真面目に考える斬新な物語
少女漫画で共感を得ようとした作品ではなく、男性向け雑誌で、性を真面目なテーマとして、綺麗ごとだけでなく現実味のある恋愛を描いているって結構凄いと思う。
荒乙は文芸部に所属する五名の物語。
小野寺和沙はイケメン幼馴染がいるおかげで、嫉妬や陰口に苦しんだ過去があるが、性を意識しはじめる衝撃の出来事によって、複雑な感情に振り回されている。
部長の曾根崎り香は超潔癖なんだけど、イメチェンしたことで、とある男子と急接近。
作家を目指している本郷ひと葉は、経験の無さから文章表現を馬鹿にされ、ネットで知り合った男性と出会ってみようとする。
ミステリアスで超美人の菅原新菜が物語に波風を立て、和沙の親友である須藤百々子が最後に意外性をみせてくれる……。
5人それぞれの恋愛事情に重みがあって面白いんだけど、理不尽な出来事に対して文芸部全員で戦うという友情も描かれていて、物語の青春を全力疾走している感じがとにかく凄い。
最後まで文芸部の友情が保たれているのが個人的に良かった
女の友情は脆いとか、女子のほうが下ネタはえぐいみたいな話を耳にしたことがあるけれど、荒乙は人間の汚さがモブキャラに出ていて、まぁえぐい。
しかも他の漫画だったら、キャラクターが物語から退場してもおかしくない展開もあるので、岡田麿里さんの手腕と、透明感のある絵柄で綺麗な漫画にした絵本奈央さんの画力には感服した。
こういう漫画をたくさん読むと、反面教師になり、自分の心のブレーキ精度が研ぎ澄まされる。
岡田麿里さんのアニメ映画ファンはもちろんのこと、心に残るような重い作品が好きな人にも超オススメなので、興味がある人にぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
荒ぶる季節の乙女どもよを試し読みする方法
荒ぶる季節の乙女どもよは、講談社が刊行している漫画誌・別冊少年マガジンで連載されていたので、マガポケより第1話を無料で試し読みできます。