- Q口に関するアンケートは面白い漫画でしたか?
- A
1巻完結&素材の味を引き立てる押見修造先生の表現力だから成り立っている良いコミカライズです。ただ、香水の匂いに持続時間があるように、読み終わった瞬間に恐怖心も霧散します。じわじわと恐怖心を駆り立てるという意味でちゃんと面白い漫画でしたよ。
『口に関するアンケート』はどういう漫画なのか?

①.あらすじ
僕思うんです。あの日に肝試しなんてしなければ、杏は死ななかったんじゃないかって。こんなこと、話すこともなかったんじゃないかって。
引用元:口に関するアンケート
②.唯一無二の魅力
ホラー小説のコミカライズはこれから全部、押見修造先生に任せましょう。そう思ってしまうほど、口に関するアンケートの漫画は魅せ方が抜群に上手いです。ドキュメンタリー映像のように演出するいわゆるモキュメンタリーってやつなんだけど、良い意味であっさりしているんです。
原作自体が全63ページという短編小説。見どころが少ないのは間違いないとして、登場人物ではなく怪奇現象そのものが主役として描かれているので、読書中の恐怖心や読後の余韻がいっさい邪魔されません。上下巻とかじゃなくて、1巻でスッと終わらせるのも英断だと思います。
キャラクターのビジュアルに関しては、漫画家の腕の見せ所のひとつなので、色を出したくなる気持ちはわかるんですけど、ホラー漫画の読者からすれば登場人物の見た目なんてどうでもいいんです。美男美女である必要はないし、短いぶん目移りする要素は少なければ少ないほどいいと思っています。
その点、口に関するアンケートの漫画版は、じわじわと恐怖心を募らせていって、最後に全部崩して爽快感だけが残るドミノ倒しのように、初回限定の怖さがありました。
③.実際に読んだ感想
ホラー漫画ではジャンプスケアと呼ばれる大きな音で驚かせる演出が使えません。
ですから映像作品と比較して『怖い』と思わせる難易度が遥かに高いジャンルなのです。私自身、ホラー作品が好きでよくみるんですけど、自分で想像する怪談や小説、臨場感のある演出で驚かせてくる映像作品との間に越えられない壁があると思っていました。
でも、口に関するアンケートの読書感覚はかなり怪談に近いです。
例えば、インタビューの音声ファイルを再生する描写は白背景で人物の首から上、とくに口や目に焦点が合うように描かれています。コンビニやファミレス、パトカーの車内など、その空間にいると認識できる輪郭だけを残して、細部はぼかして描かれているので、怪談を聞いてまるで自分で想像しているような感覚を味わえるのです。
どちらかといえば、サスペンスホラーの側面が強いので、オチを知ってしまえば『そこまで怖い作品じゃなかったな』『本当に口に関するアンケートってタイトルは的確だったのか?』と言えるんですけど、宴会自体は楽しくて、食事も美味しかったんだけど、お会計のときにスンってなる感覚。とはいえその過程に恐怖心をくすぐられたのは間違いありません。
もしかしたら深く考察した先に『口に関するアンケート』というタイトル回収が待っているのかもしれないんですけど、少なくとも漫画を読んだ感覚的には考察するほど気にならない、もしくはストーリー内で完結している印象を受けました。
SNSでは賛否両論、色んな意見があふれていますけれども、原作小説60数ページ、漫画1冊で完結してしまう話を、映画館に90分弱拘束するには他の要素をつけ足して薄くのばすのは当然の話で、タイトルである『口に関するアンケート』がぼやけるのは、それはそうって感じですよね。
アンケートを付属することで怖さを一段階上げるのは秀逸なアイデアとも言えるし、握手会のチケットが付属しているアイドルのCDみたいだとも言えるし、そこはあなた次第。
ホラー作品が好きな私は間違いなく後者なんですけど、コミカライズの作者が押見修造先生じゃなかったら……と思うと、別の意味でゾッとします。
『口に関するアンケート』の作者が描いた漫画は?

原作者である背筋先生の作品は『近畿地方のある場所について』『穢れた聖地巡礼について』がコミカライズされており、さらには『キルレート・カオス』の原作を担当しています。
漫画を担当している押見修造先生は『惡の華』『ぼくは麻理のなか』『血の轍』『おかえりアリス』『瞬きの音』など多くの作品を描いています。
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