YoutubeやTwitch配信でコメント欄とか見ていると、誹謗中傷が厳罰化する流れになっているのにも関わらず、未だにヤバイやつがいる現状に恐怖すら覚えます。
香川県のゲーム条例ができた経緯は大いに問題がありますが、大会の公式配信のコメント欄の惨状をみるに、悪影響を否定できない自分がいます。
さて、今回紹介する言葉の獣は、タイトルにあるように言葉を獣の姿で認識できる共感覚をこえた能力を持っている少女と、詩に強い関心を持つクラスメイトの二人が、美しい言葉の獣を探す物語です。
言語感覚を顕在化する世界観に惹きこまれる。
小説のように読める大人向けの漫画でした。
言葉の獣のあらすじ
言葉を獣の姿で見ることができる東雲と詩に強い関心を持つクラスメイト・薬研。
二人はふとしたきっかけからある目的のために協力し合うことに。
東雲が生息地と呼ぶところに獣たちは棲んでいるらしい。
言葉の扱われ方によって変化するその場所で、二人は様々な獣に出会う。
【ネタバレ注意】言葉の獣を読んだ感想

鯨庭の作品
言葉を獣として認識できる共感覚が面白い
なぜ被害を受ける側が我慢しないといけないのか?みたいな意見をみますけど、自衛は必要ですよ。
刃を振りかざす相手に説得は通じませんし、言葉が通じるような人間は最初から過ちを犯しません。
とはいえ、加害者にきっちり罰を与えられる社会にならないといけないのは間違いないし、正直者が馬鹿を見る現状に、不満を抱えている気持ちはよく分かります。
最近はSNSなどのネットによる誹謗中傷が社会問題となり、厳罰化する流れが加速しました。
視えない敵からの悪意のある攻撃。
視えないからどう立ち回ればいいのか分からない。
言葉の獣ではそんな誹謗中傷を、獣の一種で表現していて、凄く腑に落ちる感覚がありました。
YoutubeやTwitchなどの配信では悪意のあるコメントは、スルーしましょう、無視が安定ですよと、何も反応しない対応が基本となっていますが……。
頭では理解していても、自分が好きな配信者が馬鹿にされるような言葉に、ついつい反応してしまうのは仕方が無いことだと思います。
今までは誹謗中傷する人間は理解できないからこそ恐怖の対象だったんですけど、こういうヤツなんだってイメージが固まることで、無視することの本質を理解できました。
ようは、ゲームで登場する敵キャラの攻略法だと思えばよかったんですよね。
攻撃力がめちゃくちゃ高いけど、こっちが動かなければ、音を出さなければ勝手に去っていく。
そりゃあ、構う意味ありませんし、獣が去ったと思えば自分のメンタルに影響もありません。
このイメージを貰えただけでも、自分はこの漫画に凄い価値があると思います。
世界観を言語化しようとする姿勢に感嘆する
この物語は、言葉を獣の姿で認識できる少女と、詩に強い関心を持つクラスメイト二人が出会ったことをきっかけに、美しい言葉の獣を探すというもの。
現実にも文字や数字に色が視えたり、音に色を感じたりする共感覚という能力が存在します。
しかし、この漫画で描かれるのは、まるで別世界に迷い込んだかのような特殊能力。
普通なら深く言及せずにおわっても、フィクションだし、漫画だからそういう表現なんだろうって、読者もまぁ納得するんですけど……。
言葉の獣ではこの世界は何なんだろうって考える描写があるんですよ。
もうね、言葉を扱う漫画としては流石としか言えません。
自分は絵を見るのが漫画だと思っているので、セリフやモノローグなど、一字一句読み込むなんてことはしないんですけど、言葉の獣に関しては小説のようにちゃんと文字を追いました。
SNSのアカウントを巣箱と表現したり、美しいという言葉の使い方に違和感を覚えていたり、言語感覚が読んでいて本当に素晴らしい漫画でした。
【最新刊】言葉の獣2巻の発売日
- Q言葉の獣2巻の発売日はいつですか?
- A
2023年2月24日発売予定です。