どのような漫画もジャンルや構成している要素に分解してしまえば「○○みたいなやつだよ」とか「こういう内容だから面白いよ」と人に説明できる。
しかし今回紹介する児玉まりあ文学集成は、文学とマンガという近いようで遠いものが融合しているもので、今までにないような不思議な感覚に陥る、あまりにも独特な世界観を放っている漫画だった。
読んでいて分かりやすい面白さではないけれど、今までにない切り口で描かれているので、普段から小説を読んでいる大人とか、月に何十冊も漫画を購入するよというレベルのひとにはオススメできる。
児玉まりま文学集成のあらすじ
ネタバレ注意!児玉まりあ文学集成を読んだ感想
作者・三島芳知さんの漫画
児玉まりあ文学集成の作者・三島芳知さんはレスト―夫人やヴァレンタイン会議、ガールズレコグニションという漫画を描いています。
独特な世界観と唯一無二の絵柄が魅力の漫画
児玉まりあ文学集成というタイトルから、てっきり短編集なのかと思っていたが、それはどうやら違うようで単行本の売れ行き次第では今後も続いていくはずだ。
本作の帯には『児玉さんはまるで詩のように改行の多い話し方をする』と記載されていて、漫画を読んでいるというよりも小説を読んでいるような感覚になるし、エピソードも比喩やしりとり、疑問形に関するものなどかなり独特だ。
例えば1話目では「木星のような葉っぱね」と児玉さんが呟くように「意味はなかった。でも今私が喩えたからこの宇宙に今まで存在しなかった葉っぱと木星の間の関係が生まれたの。言葉の上でだけ。これが文学よ」と話している。
比喩だけではなく、語彙力という話題からしりとりを延々とつづけたり、疑問符という話題から新しい記号を考えたりと、着眼点がなかなかに面白い。
そして児玉さんの遠回しで文学的な好意と、不思議な少年である笛田くんのちょっぴりとラブコメっぽい展開も、ある意味予想外の連続でとても良い。
それぞれのエピソードに参考文献がある
比喩の話ではアンドレ・ブルトン『溶ける魚』、しりとりの話ではオーギュスト・ブランキ『天体による永遠』、記号の話では芥川龍之介『煙草と悪魔』などそれぞれの話に参考文献が記載されており、これが文学との融合と話す所以だ。
読んでいくうちにストーリーの奇抜さだけではなく、キャラクターに謎と魅力を感じるようになっていく。
先ほども述べているように、万人受けするタイプの漫画ではないどころか、平面を探すのが難しいくらい尖りまくっているが、興味がある人はぜひ読んでみてください。
【最新刊】児玉まりあ文学集成3巻の発売日
- Q児玉まりあ文学集成3巻の発売日はいつですか?
- A
2021年7月29日に発売です。
【無料】児玉まりあ文学集成を試し読みする方法
児玉まりあ文学集成はリイド社が運営しているWEBマンガサイト・トーチwebで連載中なので、第5話まで無料で試し読みできます。