科学技術が発展している現在ですら、某国のトップに影武者説とか、誰々は死んでいないのではないかとか、数多くの陰謀論が存在しています。
自分に似た人間はこの世に三人はいると言いますし、関係性が低い知人であれば、雰囲気が似ているだけで空目してしまうかもしれません。
それこそ昔なんて、偉い人のご尊顔を拝める機会がまず少ないでしょうから、影武者は外敵に対して有効な手段だった可能性は十分にありますよね。
さて、今回紹介する双影双書は、遊郭生まれの孤児である主人公が、自分の顔と瓜二つな皇太子の影武者として皇宮に召し抱えられ、陰謀渦巻く宮廷を二人で生き抜く中華風ファンタジー漫画。
こうなりそうだなって予想通りの展開なんですけど、ちゃんとオリジナル要素がありますし、話の膨らませ方が凄く丁寧で、マンガが上手い漫画でした。
双影双書のあらすじ
【ネタバレ注意】双影双書を読んだ感想
作者・舟本絵理歌の漫画
1巻を丸々プロローグにできる構成力が魅力
自分が漫画の試し読みをするときは、即買いまでは行かなくても、読みたいって気持ちが80%くらいあって、最後の一押しのために読むって感じです。
漫画って試し読みしたところで、面白いかどうか判断できないんですよ。
1話目がめちゃくちゃ良くても、それ以降は微妙。
1巻がめちゃくちゃ良くても、それ以降は微妙。
アニメ化もされたし、自分も超好きだったのに、最後の最後で台無しになる。
心当たりあるんじゃないですか?
漫画の真の評価が確定するのは完結してからなんですよね。
もちろん、その逆も然りで……。
面白くないなって積読していた漫画が、いつの間にかアニメ化が決定していて、読み返したら自分の中で評価が覆った経験も一度や二度ではありません。
双影双書は1巻の最後までちゃんと読んで、おお!ってなった漫画です。
端的に言えば、想像通りの展開から+αがちゃんとあったということ。
中華風ファンタジーで、同じ顔が二つあって、皇太子と影武者という設定で、もうこれはそうなるじゃんって読む前から予想はできました。
1巻を丸々プロローグに使うのは諸刃の剣。
これがもしも想像通りの展開で終わっていたら、自分は続きを購読することは無かったと思います。
しかし、バッドエンドじゃない続き方をするなら、話は別。
他の漫画であれば1~2話で終わる話を、6話使っているものですから、本当の意味で物語が始まるころには世界観に没入し、キャラクターへの感情移入が完了しています。
キャラクターの言動への納得感。
物語の深みが段違いでした。
中華風ファンタジーらしい特殊な設定に驚かされる
遊郭生まれの孤児・宵が、自分と瓜二つな顔を持つ皇太子・冠星の影武者として、皇宮に召し抱えられる……。
この影武者設定を活かすのであれば、外敵とバンバン戦うことになるんだろうなと予想していましたが、これはどうやら外れそうです。
どちらかといえば内政や権力争いがメインの物語。
むしろこちらの方が、誰に自分の身を明かしていいのか、絶対にバレてはいけないのか、一律ではないぶん、違う緊張感を楽しめそうです。
あらすじで二人の少年と明記されていなければ、女の子だと勘違いしそうな、宵のピュアな雰囲気もめっちゃいいんですよね。
影武者としてやっていけるの?
大丈夫?って思わず心配にる可愛さ。
それから、皇太子らしく不遜な態度の冠星。
意外にも、自分が我慢していれば民が苦しまずに済むって思考を持っていて好印象。
何だコイツって苛立ちをを序盤に潰しておくのも良い判断だと思います。
物語の鍵となるのは、当時の権力者が求めたとされる不老不死の霊薬で、それがキョンシー化させる予想外の展開を生み出します。
もちろんその設定をどう活かすのかはこれから次第ですけども、読者の好奇心をくすぐるのに、1巻の構成は完璧だったと評価していいでしょう。
自分はこういう漫画にありがちな流血・残酷な描写が苦手なんですけど、舟本絵理歌先生の可愛らしい絵柄のおかげで、特に気にせず読むことが出来ました。
まぁそれは裏を返せばアクションとしては弱いのと同義。
それを目当てに購読すると何か違うってなりそうなので、注意が必要です。
中華ファンタジーや内政系の漫画が好きな人におすすめなので、興味があるならぜひ読んでみてください!
【最新刊】双影双書3巻の発売日
- Q双影双書3巻の発売日はいつですか?
- A
2023年12月18日発売予定です。