まず、私の怪獣8号の評価を述べておきます。
「まるで劇場版アニメのコミカライズみたいだ」
「完結した今、一気読みするならアリな漫画だ」
というのが、正直な感想です。
SNSで言われているほどつまらないとは思いません。
でも、マンガ賞にランクインする面白さでもありません。
私自身、群発災害編からラスボス戦前に途中離脱している状態。
実際のところ、ここまで賛否両論ある漫画は珍しいですね。
あなたが怪獣8号の視聴や購読を迷う気持ちは理解できます。
この記事では『第2期アニメ化するほどの超話題作なのに低評価が目立つ理由』や『漫画好きの客観的な評価』について解説します。
漫画購読やアニメ視聴の参考にしてください。
怪獣8号のあらすじと作品概要
怪獣発生率が世界屈指の日本。
この国は、容赦なく日常を侵していた。
かつて防衛隊員を目指していたが、今は怪獣専門清掃業で働く日比野カフカ。
ある日カフカは、謎の生物によって、身体が怪獣化、怪獣討伐を担う日本防衛隊からコードネーム「怪獣8号」と呼ばれる存在になる。
怪獣8号の出版社や連載先はどこ?
怪獣8号は集英社が運営している少年ジャンプ+で連載です。
松本直也先生の過去作品は?
怪獣8号の作者・松本直也さんはポチクロやねこわっぱを描いていました。
怪獣8号はアニメ化されている?
怪獣8号は2025年7月から9月まで第2期アニメが放送されました。
怪獣8号は完結している?
2025年9月4日発売の怪獣8号第16巻で完結しました。
【ネタバレ注意】怪獣8号を実際に読んだ感想と評価について
怪獣8号は面白いですか?
――まぁ、数字ほどではないですけど。
怪獣8号はおすすめできますか?
ーー完結した今なら、できるよ。
煮え切らない言葉だなと思われたかもしれません。
怪獣8号はハードルを下げてあげるべきなんです。
問題点①第1巻が評価されすぎた
怪獣8号の連載開始は2020年7月3日。
当時はコロナ禍で、外出自粛の影響を受けていました。
家にいながら楽しめる数少ない娯楽として、マンガは未だかつてないほど読まれました。
第1話が公開直後からTwitterで話題沸騰。
ジャンプ+史上最速で1億PV突破。
アニメ化前にジャンプ+作品史上最速で累計400万部突破。
次にくるマンガ大賞2021ウェブマンガ部門で第1位獲得。
とにかく勢いがあったのを覚えています。
怪獣8号の魅力は主人公の日比野カフカがおじさんなこと。
フォルティチュードと呼ばれる怪獣が発生する災害が存在する世界観で、市民を守る防衛隊員を描く物語でありながら、おじさんの再起や奮闘が描かれる珍しさは心を掴みました。
当然、幼馴染のヒロイン・亜白ミナもお姉さんです。
これも怪獣8号の人気に拍車をかけた要因だと思います。
ではなぜ怪獣8号の面白さに疑問符がついてしまったのか?
それは第1巻の時点で評価されすぎてしまった。
いわゆる過大評価ってヤツなんですけど……。
出版社は当然、史上最速を強く推します。
すると、後から漫画を購読する人は『ジャンプ+で一番面白い漫画』を期待して読むわけです。
おや?本当にジャンプで一番なのか?
となるのは仕方が無いと思います。
これは、誰かが悪いとかじゃないので可哀想な話です。
問題点②比較対象が強すぎた
怪獣と戦う防衛隊の話と聞いて思い浮かべる作品。
それは、ワールドトリガーです。
漫画やアニメを知っているなら、伝わると思います。
例えばバスケならスラムダンクだし、サッカーならアオアシやブルーロックですよね。
作者の気持ちとは裏腹に、私たち読者はこういうのを読みたい!と期待して漫画を買うので、そこで勝るとも劣らない内容じゃない限り、気持ちが離れるのは当然と言えましょう。
問題点③怪獣に名称をつけなかった
主人公は怪獣8号で、ラスボスは怪獣9号。
数字が割り振られているのは良いとして、そこから踏み込んで名称をつけてほしかったのが本音です。
漫画読者はヴィランも作品の一部として愛します。
ときには、ヒーロー側の人気すら上回るほどです。
だからこそ、私はもったいないなと思いました。
もしもちゃんとした名称があったなら……。
ラスボスが「エリンギ」と蔑称で呼ばれることも回避できたはずです。
問題点④必殺技の印象が無さすぎる
バトル漫画なのに、戦闘描写の印象が無さすぎます。
なんか言ってはいるんですよ。
隊式格闘術という仰々しい名前のものが。
殴る蹴るに名称をムリヤリつけているようにしかみえなくて全然テンションがあがりません。
問題点⑤四ノ宮キコルだけを悲劇のヒロインにした
登場人物が多い=個性的なキャラが多いではありません。
私が途中離脱した怪獣8号12巻までに、名前を記憶できたのは四ノ宮キコルただ一人で、なんならヒロインも「えーっとなんだっけ?そうだ亜白ミナ……だよな?」くらいです。
ハンターハンターの12巻は旅団との接敵。
ワンピース12巻はバロックワークスとの接敵。
BLEACHは12巻は更木剣八との接敵。
やはり名作を振り返ると、濃度が違います。
問題点⑥オペレーターの存在価値の低さ
防衛戦に求めるのは高度な駆け引き。
騙し騙されみたいな展開は読んでいてワクワクします。
しかしながら、怪獣8号にそういう展開はありません。
常に敵に先手を打たれて、オペレーターはまるで実況役。
知性を担当するべき作戦本部が機能していません。
問題点⑦天才キャラ・鳴海弦の苦戦
バトル漫画において天才キャラは重要です。
直近で言えば、呪術廻戦の五条悟がまさにそう。
ヴィラン側がリスペクトする強さが彼にはありました。
いっぽうで、鳴海弦はどうだったか?
――あくまで人間の中では一番強いね。
思ってたより苦戦が早すぎた印象を受けました。
初登場から群発災害編の間にもう一つエピソードがあってもよかったなと思いました。
まとめ
怪獣8号は劇場版アニメのコミカライズみたいな漫画です。
完結した今ならば、私は怪獣8号を否定しません。
長所と短所は表裏一体といえます。
なぜ連載中に批判的なコメントが寄せられていたのか?
ゴールの見えないマラソンは疲れますよね。
もしも怪獣9号がラスボスじゃなかったら……。
そんな不安もあったと思います。
逆に言えば、ここで完結したなら評価は上がります。
全16巻と休日に読むにはちょうどいいボリューム。
コマ割りは大きくて読みやすい。
悲劇を背負ってくれたのは四ノ宮キコルだけ。
序盤から最後までテンポよく駆け抜けるストーリー。
連載中と完結後で評価が変わる漫画の難しさを体現しているのが、怪獣8号なんです。




