職人が細部までこだわり、ひとつひとつ丹精込めて形にした唯一無二の美しさは、もはや芸術品といえる。
買い物をするうえでコスパの良さはもちろん大切なんだけど、たとえ値段が高いと感じても、職人のこだわりや技術が詰まった商品には欲しいと思わせる魅力がある。
今回紹介するクプルムの花嫁は、新潟県の職人の街・燕三条地域で代々続く鎚起銅器職人が主人公であり、幼馴染のギャルとの婚約を描く恋愛漫画だ。
クプルムの花嫁のあらすじ
【ネタバレ注意】クプルムの花嫁を読んだ感想
作者・namoさんの漫画
職人の街とも呼ばれる燕三条地域を舞台に描かれる
新潟県燕市と三条市は、金属加工業が盛んな地域で、料理をする人やアウトドアが好きな人なら聞いたことがあるよっていう有名なメーカーがけっこうある。
その中でも本作は鎚起銅器を題材に描いている漫画で、タイトルに含まれているクプルムはラテン語で銅を意味するんだとか。
自分は鎚起銅器という存在を初めて知ったから値段に驚いたんだけど、一枚の銅板を金槌で成形していく技術と労力と美しさを知ったら「確かにこれは高くなるわ」と納得した。
ヒロインが金髪ギャルなのに雰囲気が軽くなりすぎない凄さ
ギャルがヒロインの漫画の良さは、ストーリーがめちゃくちゃ明るくて読みやすいことなんだけど……。
職人が本気で仕事と向き合う展開を考えると、雰囲気が軽くなりすぎて、相性が悪いんじゃないか?と購読前はちょっぴり心配していた。
しかし、読んでみれば主人公とヒロインは幼なじみという、簡単なことでは揺らがない関係性が出来ている状態から物語が始まるので、その心配は序盤で解消された。
ラブコメのフワフワした雰囲気が前面に出過ぎることもなく、かといってピリッとした空気感が続くこともない。
そのバランスがめちゃくちゃ良くて自分好みの恋愛漫画だった。
ギャルといってもヒロインのしいなは容姿が派手なだけで、明るくて可愛らしい女の子だし、主人公の祖父母とも旧知の仲だから「受け入れてもらえるか不安」みたいな緊張感も無い。
言葉遣いが汚いとかそういうデメリットもなくて、結婚を前提に物語が進んでいく、めちゃくちゃ雰囲気が良い恋愛漫画になっている。
主人公の修は、鎚起銅器職人の祖父のもとで、一人前の職人になることを目指しているんだけど、自分の父親を早くに亡くしている。
技術はあるけれど表現力が乏しい堅物の修は、おじいちゃんに認められる職人になったとき、しいなと結婚する約束を果たすため、日々励んでいる。
普段は不器用だけど、修のしいなに対する愛情表現はニヤニヤできるし、しいなの天真爛漫な笑顔には癒された。
鎚起銅器がどういう工芸品なのかを知ることができるし、職人を描く漫画としても恋愛漫画としても最高だった。
【最新刊】クプルムの花嫁6巻の発売日
- Qクプルムの花嫁6巻の発売日はいつですか?
- A
2024年10月15日発売予定です。
クプルムの花嫁を無料で試し読みする方法
クプルムの花嫁はエンターブレインから出版社されている漫画誌・ハルタで連載中なので、ComicWalkerより無料で第1話を試し読みできます。