この記事は2025年4月15日に発売された開花アパートメント3巻のネタバレ注意な感想を書いています。
第2巻の終盤では春雄君が「白い鬼を待ってるんだ」という話が描かれましたけれども、その続きとなる開花アパートメント第3巻はあまりにも悲しすぎる白い鬼の正体や、二重人格やモダンガールの話が展開されていますよ。
開花アパートメント3巻のあらすじ
住人たちの謎と過去とが絡み合う。
男子学生の春雄は毎晩のように寮を抜け出している。
「白い鬼を待っている」という彼の言葉の意味とは?
そして近所の橋に現れた幽霊の正体とは。
探偵助手の少年・真が、小説家の藤と共に真相を探る。
大正末期のアパートを舞台に描かれる奇縁の物語、第3巻
【ネタバレ注意】開花アパートメント3巻を読んだ感想


開花アパートメント3巻は何話まで?
開花アパートメント3巻は第十二話『淵の都』から第十六話『ランデ・ヴウ』まで描かれています。
あまりにも悲しすぎる白い鬼の正体が明かされる
これは鬼だよ、鬼が死んだ。
出典:開花アパートメント第3巻5p
開花アパートメントって、言葉選びのセンスが良いですよね。
しかも、ひとつひとつのエピソードも短くていい。
この白い鬼のエピソードもあっという間に答え合わせに進みます。
開花アパートメント第3巻第十二話『淵の都』では、夜に橋の上で人を待っていた春雄君のもとに、探偵助手の少年・真が小説家の藤と共に訪れて、話を聞くフェーズが描かれます。
端的に言えば、白い鬼の正体は春雄君の母親でした。
そして、母親を死に追いやった男を春雄君は待っていたわけですが、その過程は単純ではありません。
かつて身も心も奪った男との間に子を授かって、生涯を連れ添うと約束を破られ、橋の上から突き落とされた母親は、不幸中の幸いか一命をとりとめてしまった。
そう、とりとめてしまったがゆえに、その想いを忘れられず、ネガティブな感情が春雄君へと引き継がれてしまったんです。
このエピソードは想像していた以上に複雑で、まるで空っぽの器みたいな春雄君がただただ可哀想でしたが、彼にとって不幸中の幸いだったのが、真君と知り合ったことでしょう。
生きがいを教えてくれ、死ぬ気では死ねない。
出典:開花アパートメント第3巻40p
後味にほろ苦さが残る二重人格の秘密
開花アパートメント第3巻第十三話『花に嵐』で描かれる住人の秘密は二重人格について。
優しすぎるのか、ネガティブなのか。
些細なことですから自分が悪いように受けてしまう男と、そんなひ弱な夫を情けないのではなく、優しいと受け止めている婦人のエピソードも、これまたほろ苦い味がするんですよね。
夫の辰紀はいわゆる二重人格で落ち込みすぎると、女性の人格が顔をだすんですけど、これがまたなんといいますか女子高の王子様みたいな気品を感じさせるんですよね。
別人格も辰紀の一部で、言葉通り全てを愛している婦人。
でも、その愛情は果たして平等なんでしょうか?
あなたが本当に望んでいたのは……?
一生忘れられないモダンガールの秘密
開花アパートメント第3巻第十六話『ランデ・ヴウ』で描かれるのは、藤さんにヒールが壊れてしまったから手を貸してほしいと頼んできたモダンガールの、一日限定のデート。
他の漫画であれば、おてんばな王女様が下町に遊びにきたくらいのテンション感で描かれていて、困りつつも転ばないかと心配している藤さんがめっちゃいいんですけど……。
誰の代わりにも、私はなれませんよ。
出典:開花アパートメント第3巻151p
その一言で、胸がキュッと締め付けられました。
理解してしまうと、楽しそうな雰囲気がより悲しさを引き立てるといいますか、うん……。
なんとも言えない感情が残るエピソードが多い開花アパートメント第3巻でしたが、それがまた魅力なので、次回の人間ドラマも楽しみに待ちたいと思います。
【最新刊】開花アパートメント4巻の発売日
- Q開花アパートメント4巻の発売日はいつですか?
- A
発売間隔から予想すると、2026年3月以降になると思います。