世の中にはいろんな職業があるように、セクシャリティも一つの言葉でくくれるほど単純明快なものではないと知ったのはごく最近のこと。
この記事ではゲイ風俗で働いていたという元プロが語るセクシャリティや人生について描かれる衝撃の作品『ゲイバーのもちぎさん』の感想や魅力を紹介したいと思う。
そもそも自分の性についてカミングアウトするという行為自体が意味不明なのだが、だれかがしないと世の中の認知度が上がらないというジレンマを抱えている。
ゲイであるということだけではなく、母親との確執やパワハラ……壮絶な過去があるもちぎさんが、どのように“今”を生きているのか……これがエッセイであることに衝撃を受けました。

ゲイバーのもちぎさんのあらすじ
貧しい母子家庭を支えるため16歳にして売春した過去を持つもちぎ。
DV、ゲイ風俗、パワハラという嵐のような日々をくぐりぬけて、ようやくつかんだ自分の居場所は濃すぎる面々が営むゲイバーだった。
ネタバレ注意!ゲイバーのもちぎさんのストーリーや魅力
作者・もちぎさんの漫画や著書
LGBTQを知ることができる希少な漫画
最近はテレビでもオネェタレントが活躍していたり、LGBTQという言葉の普及でマイノリティについて知る機会も多くなってきた。
とはいえ、異性と恋愛する人間が、同性との恋愛を理解することが可能かといえばそうではない。
ただ、どういう感覚なのか、何が同じで何が違うのか、言われたら嫌なことはなんなのか…相手をしるということはコミュニケーションのうえで、とても大切だし、知らないといけない。
そもそも普通ってなんだろう。
本作を読んで考えるきっかけにしてほしい。
ゲイ風俗とゲイバーを知れる衝撃のエッセイ集
もちぎさんは幼少のころに父親を亡くし、母親とは不仲で逃げるように上京して、ゲイ風俗で働きながら大学を出て、就職……しかしその職場でゲイであることを暴露されて退職するという、壮絶な人生を送っている。
そんなもちぎさんがいまやツイッターフォロワー数53万強と、多くの人から支持を得るまでになったのか……そこには彼をどん底から引き上げてくれたゲイバーとその仲間たちとの出会いがあった。
まぁこう書くとめちゃくちゃ重い内容だと思われてしまうが、実際はネタ満載で半分近くは漫画らしくコミカルな作品だ。
とはいえ心を奪われるのは言葉だろう。
印象的だったのは無性愛者の男の子が「まるで異性愛者の反対側に同性愛者がいるような感覚で」とボソッと呟くシーンや、もちぎさんがゲイバーのママに出会ったときに投げかけられた「ダメなことしたらそりゃ怒るけど行動に対してよ。あんたがゲイだろうとあんたの存在はだれも否定しないから」というセリフの数々。
良いことも悪いことも、考えたこともなかったような言葉がポンポンと飛び交っている。
吐息のように軽い言葉が相手を傷つけるのかもしれないと考えさせられるには濃い内容だった。
なにもLGBTQに限ったことではなく、自分と他人は全く別の生き物であると、少しでも理解する人が増えてくれるといいなと願うばかりだ。
ゲイバーのもちぎさん(最新刊)3巻の発売日
ゲイバーのもちぎさん3巻は2021年1月13日に発売です。
ゲイバーのもちぎさんを無料で試し読みする方法
ゲイバーのもちぎさんはpixiv内のレーベル・palcyで連載中なので、1話から最新話までほぼすべてのエピソードを無料で読むことでが出来ます。


