この記事では、地上に光が届かない世界で、転花という新しい技術で生き永らえる人々から、生死について考えさせられる漫画『フールナイト3巻』のネタバレ注意な見どころを紹介します。
2巻では、殺人霊花アイヴィーによって、ヨミコが重傷を負ってしまう展開になりました。
その続きとなるフールナイト3巻では、霊花の声が聞こえるトーシローに、アイヴィーがなぜ凶行を繰り返すのか、その本音をぶつける胸が苦しくなるような場面が描かれます。
フールナイト3巻のあらすじ
光の差さない絶望の世界で人々は、人間を植物に変える「転花」という技術に希望を抱いていた。
完全な植物である「霊花」となるまでの残された時間は2年間。
そんな世界で貧困に喘ぐトーシローもまた、霊花になることを選ぶ。
霊花になるまでの時間を豊かに生きようともがくトーシロー。
そしてそんなトーシローの前に、完全に植物になってもまだ活動を続ける不気味な霊花が襲ってきて、幼馴染のヨミコが犠牲になってしまう……。
ネタバレ注意!フールナイト3巻を読んだ感想

©安田佳澄/小学館
終末世界をテーマにしたSF漫画は、人間の対立構造はセットみたいなところがあるんですけど、コロナ禍を経験したことで、かなり現実味を帯びてきましたよね。
そんなことしている場合じゃないだろって。
今までは、どこか遠い世界の、他人事のように感じていました。
自分はオカルト・都市伝説・陰謀論系の動画は、ひとつのコンテンツとして大好きですけど、それを嬉々として誰かと語ろうとは思いません。
伝言ゲームをすると、最終的に全く違う答えになっているように。
言語を翻訳する段階で、発言者の意図していないニュアンスに変換されている場合も多々あります。
人間は自分に都合がいい情報を信じるもの。
大きな釣り針に食いつかない。
鵜呑みにしない事を意識した情報との向き合い方が大切だなと、最近は強く感じます。
フールナイト3巻では貧富の格差が色濃く描かれていて、読んでいて胸が締め付けられました。
転花する見返りは、死ぬまで困らない大金。
霊花になれば、酸素を供給し続ける機械として人類のために働き続けるわけだから、その報酬は当然だろうと思っていましたが……。
真面目に働き続けても、明日の暮らしの保障が無い人たちの不満の種になるのも理解できます。
目に見える貧富の差は歴然で深刻。
誰かのせいにしないと、心が壊れてしまいそうな気持ちが痛いほど伝わってきます。
フールナイト3巻の中盤からは、トーシローとアイヴィーの話。
怒りを制御できないトーシローは空回り……。
最悪な状況でアイヴィーと対面することになります。
霊花の声を聞けるトーシローは、アイヴィーから凶行を繰り返す理由を聞き出します。
生きていて良かったことなんて一つもない。
アイヴィーの正体は、子供だった。
恵まれない環境にいた子供の世界への復讐。
アイヴィーが言うパレードとは何か。
彼は何を知っているのか。
霊花の凶行が世間にバレて、社会は混迷を極める……。
フールナイト4巻の発売日
フールナイト4巻は2022年6月30日に発売予定です。