漫画も音楽も売れないといわれる時代……ミュージシャンになりたいからではなく、自分のために音楽を続けてきた青年が、ひとりの女性に出会うことで世界と繋がる。
この記事では音楽がSNSで世界に発信される、現代の若者の人間ドラマを描く音楽漫画『バジーノイズ』の感想や魅力を紹介したいと思う。

イラストレーターみたいな絵柄ですね
音楽漫画は高校生くらいの年代を主人公にすることが多いのですが、バジーノイズは音楽をやめるか続けるかで悩むバンドマンたちのリアルを描いた漫画なので、ストーリーは結構重め。
ですが、シンプルでスッキリとしたむつき潤さんの絵柄が魅せる音楽の描写はとてもエモいです!

バジーノイズのあらすじ
新時代の音楽×恋愛体験。
「すきなもんいっこ、あればいい」
――そう、思っていた。マンション管理人をしながら、趣味で音楽を奏でるだけ。
シンプルで完璧な生活を送る清澄。しかし――清澄が出逢ってしまったのは、 バンドマンに恋をする女・潮。
閉じた世界に流れ込む強烈な”ノイズ”が、清澄の人生を大きく変えてゆく。
たったひとりと出逢うだけで、世界が変わる。
バジーノイズ1巻より引用
耳障りで、少し心地良いノイズ。
ネタバレ注意!バジーノイズのストーリーや魅力
早く買えばよかったと思う漫画
本屋で平積みされていたときから、シンプルな絵柄とオシャレな雰囲気に気になっていたが、音楽系の漫画はリアリティがありすぎて、読んでいてキツイと感じることも多くて……そのため購読を後回しにしていた。
しかし読んでみると、主人公の閉塞感には共感できることも多く、音楽の描写はシンプルでありながなエモい……バジーノイズのヒロインとなる潮はメンヘラ気質ではあるものの可愛くて、そのうえ今の音楽界とミュージシャンの現状をしっかり描いているという、なかなか良い漫画だった。
メンヘラ気質なヒロインに賛否は分かれる
本作の主人公・清澄は住み込みで管理人の仕事をしながら「余計なもんはなんもない。音楽だけあればいい」というシンプルな生活を送る日々……そんな彼が出会ったのはバンドマンと付き合っている潮という女性。
管理人の仕事で、時々挨拶を交わす程度の関係だったのだが、そんな彼女が清澄をシンプルな世界からノイズだらけの世界へと引っ張り出すことになる……。
清澄の音楽活動は他の部屋の住民から、うるさいと度々警告を受けていたのだが、その音楽が潮を癒していて……仕事をクビになるかもしれないのに「うち、遊ばれてたぽい」と苦しいときに救われてきた音楽を聞かせてほしいというお願いを清澄は聞くはめになる。
本作のヒロイン・潮はいわゆるメンヘラっぽい女の子で、ムリなひとは絶対に受け入れることができないタイプ……というか主人公に対してもイラっとするひとは一定数いると思う。
例えばテラスハウスとかあいのりみたいなテレビ番組が嫌いな人にはオススメできないタイプの漫画だと読んでいて思ったのは正直な感想だ。
SNSでバズることから始まる清澄の音楽活動
Twitterでは毎日誰かの投稿が何万・何十万ものいいねを貰い、反響を得ている……それは芸能人やスポーツ選手に限らず素人の投稿も同じこと。
清澄がひとりで音楽を鳴らす映像が、潮のSNSから発信されて大反響を得る。
そのことをきっかけにレコード会社の人とつながりを生んだり、今の音楽業界について考えさせられたりすることに繋がっていく。
この作品を描くにあたって作者のむつき潤さんはライブハウスに足を運んだり、出演しているアーティストから話を伺ったりと実際に音楽に業界の声を聞いたそうで「いまどきロックスター探してもしゃあないぞ」という声には実感がこもっている気がした。
音楽はもちろんのこと、若者の人間ドラマにも注目してほしい作品だ。
バジーノイズの出版社や連載誌
バジーノイズは小学館から刊行されている漫画誌・週刊スピリッツで連載されていました。
本作を書店で探すのなら『君は放課後インソムニア』や『武士スタント逢坂くん!』の近くにあると思います。

以上、バジーノイズの紹介でした